農作業安全コラム

いよいよ始まるトラクターのシートベルト着用の義務化

R8年11月  紺屋 秀之

 令和9年(2027年)1月1日から、同日以降に製造された乗用型トラクター(以下、トラクター)で道路を走行する際のシートベルト着用が義務化されます。着用しないまま公道を走行すると、道路交通法違反の対象となります。

 「近くのほ場までだから大丈夫」「速度が遅いから危険は少ない」と思われる方もいるかもしれません。しかし、トラクターによる死亡事故では、転倒・転落が大きな割合を占めています。道路からの逸脱、路肩の崩れ、ほ場への出入りなど、事故は思いがけない場面で起こります。
 トラクターには安全キャブや安全フレームが装備されています。これらは転倒時に運転者の周りに安全な空間を確保し、命を守るための装備です。しかし、シートベルトをしていなければ、転倒時に運転席から放り出され、その安全な空間の外に出てしまう恐れがあり、車体の下敷きになる危険も高まります。安全キャブや安全フレームの効果を発揮するには、シートベルトの着用が欠かせません。
 これまでの安全コラム(R6年9月、R7年5月)でも紹介してきたように、農研機構農業機械研究部門が行う安全性検査では、令和7年度からトラクターの検査基準に、シートベルト未着用を知らせる「シートベルトリマインダー」の装備要件が追加されています。今回の義務化は、特別なことを求めるものではなく、備えられている安全装置を確実に使うという当たり前の行動を、社会的なルールとして明確にしたものといえます。
 また、法律上の義務は道路走行時ですが、転倒事故はほ場内でも発生します。大切なのは「道路だから締める」のではなく、「トラクターに乗ったら締める」という習慣です。シートベルトを締めるのにかかる時間は、わずか数秒です。その数秒の行動が命を守ります。義務化をきっかけに、家族や従業員も含めて「まずシートベルト」を当たり前にしていきましょう。

 

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