歩行用トラクターの後進速度けん制に関する新たな基準
R8年7月 手島 司
2025年(令和7年)5月コラム「農業機械安全性検査で新たに装備を義務化する安全機能について」で、我々農研機構が実施する安全性検査が2025年4月から新たな制度として再スタートしたことを紹介させていただきました。コラムでは安全性検査で新たに装備を義務化することになった主要機種の安全機能として、乗用トラクターでは「シートベルトリマインダー」や「PTOインターロック」(ともに2025年基準から必須)、自脱型コンバインや田植機では「作用部インターロック」(2027年基準から必須)について詳しく紹介していますので、今回は歩行用トラクターで2027年基準から必須となった安全機能を紹介します。
歩行用トラクターの中にはハンドルを90度以上回動できるものがあります。これはハウス内などの狭い場所での作業のしやすさを考慮してそのような構造にしているそうなのですが、ユーザが後退しながら作業するこのような機械に対しては、2025年基準で「ハンドル等を回動させて後退する時の最高速度が基準値(2.5km/h)を超えない構造」を求めています。この「構造」には、実際に後退する前にユーザが「意図的に操作」するタイプの後進速度けん制装置も含めていたのですが、2027年基準では一歩進めて、最高速度を基準値以下に「自動でけん制」する構造などを求めることにしました。現在では新基準に対応した構造の3型式がすでに検査に合格している状況です。
今回紹介したような一段階上の基準は、機械に起因する農作業事故低減の重要な一歩ではありますが、ハンドル回動時の「運転者が後退する方向のロータリー回転けん制」や「サイドクラッチの左右操作部・機能の入替え(一部市販機では自動化出来ている)」などは、ユーザの操作に委ねる部分が構造上残っています。今後もより安全な農作業の実現に向け、できることから一歩ずつ進めて行きたいと考えているところです。




