農作業安全コラム

目的達成と安全について

H26年8月 山﨑 裕文

 身の回りで発生している事故の中には、危険性を軽視したのではないかと疑念を抱くものが多々あります。先日台湾で起こった航空機の墜落事故では、台風という悪天候の中で離陸した結果、事故が発生しています。また、過去にさかのぼればJR福知山線の脱線事故では、定時発車を意識しすぎ安全をないがしろにした結果事故が発生しました。

 このような事故では、目的の一つ(通常通り運行すること)を達成するためにもう一つの目的である安全に旅客を輸送することがないがしろにされています。飛行機や新幹線の遅延や欠航は安全性確保のために仕方ない場合が多いと思いますが、空港や鉄道職員に罵声を浴びせている人をよく見かけますし、JR福知山線の事故でも遅延による苦情を恐れた事が原因の一端にあったと言われています。もちろん、会社には苦情を飲み込んだ上での安全管理が強く求められますが、利用する側にも「安全に関わるのであれば仕方ない」という心の余裕が必要と思います。そして、このような対応は日ごろの安全意識にも深く関係しているのではないでしょうか。

 農作業でも、作業目的を達成するために危険を軽視した結果の事故が多く発生しています。農作業事故ではなくとも、身近なニュースを教訓に「安全に勝るものなし」を意識していただければと思います。

 

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