野生動物にご注意を
H31年2月 田中正浩
新年が開け、早いものでもう2月となりました。今年の干支は己亥。可愛らしいイノシシの絵が描かれた年賀状が皆様のお宅へ届いたかと思います。確かにイノシシは可愛らしい動物ですが、彼らが危険な野生動物であることを忘れてはいけません。
昨年、イノシシが住宅地に出没し、住民が怪我をするというニュースをよくお見かけしたかと思います。小田原(神奈川県)では歩行中の高齢者2名がイノシシと接触し軽いケガを負うという事件が、神戸市(兵庫)ではパトロール中の警察官がイノシシに襲われ軽傷を負うという事件が、高松(香川)では付近を歩いていた男性がイノシシに何度も追突され両手足に擦り傷を負う事件が発生しました。 これらはほんの一部であり、全国的にはもっと多くのイノシシによる人身被害が発生しています。
下の図は環境省が公表している「イノシシによる被害人数(平成29年度)」 から求めたものです。この年は全国で76名の方がイノシシによって人身被害に遭いました。特に兵庫県での被害が多発し、16名もの被害者が出ました。
これらはニホンイノシシによるもので、沖縄と北海道を除く広い地域に生息しています。ニホンイノシシは体が大きく、オスの体長は120~170㎝、体重は70~100㎏以上あります。 また、その巨体にも関わらず時速40㎞で走ることができ、垂直跳びで1m以上ジャンプすることもできます。さらに、とても鋭い牙を持っており、これがちょうど人間の太ももの高さに当たるため、動脈を切られて失血死する場合があります。
イノシシは標高の低い場所から平地にかけて生息し、雑食性であるため、農作物を求めて人里に出没することがあります。実際に平成29年度では48億円もの農作物被害が発生しました。農作業中にイノシシに遭遇する可能性も高いと考えられます。もし農作業中にイノシシに遭遇した場合は、決して刺激を与えず目を見たまま後ずさりでゆっくりその場から離れましょう。 最悪なケースとしてイノシシが突進してきた場合は、走って逃げることは不可能なので高い場所に登るか物陰に隠れましょう。また、イノシシは非常に神経質で警戒心の強い動物なので、音で人間が居ることを知らせれば近づいてきません(会話など)。遭遇しないためには、畑の中に野菜くずを放置しないことや畑の近くにイノシシが隠れそうな茂みがあれば綺麗に刈り取ることが効果的です。 万が一、実際に人身や農作物に被害が発生した場合は自治体に相談しましょう。猟友会が駆除に動いてくれます。