億劫のすすめ
R1年6月 紺屋朋子
2019年、上半期を終えようとしています。みなさま、今年はどんな1年になりそうでしょうか。
私は、年明けに友人に誘われたマラソン大会への参加を機に、走ることにのめり込み始めました。ただ楽しく夢中になり、多少の痛みを感じた時も「大丈夫だろう」とやり過ごしたり、「前回できたから今日はもっとできるはず」と練習量を増やしていると、練習を始めてわずか1ヶ月で膝を痛めてしまいました。幸い大会参加は叶いましたが、1ヶ月で痛めたケガの治療に3ヶ月要することになりました。
各方面からのアドバイスは、「練習の前後には入念なストレッチをしましょう」「体幹を整え適正なフォームを作りましょう」と、日々の点検、基本の見直し、土台作り(つまりは当たり前のこと)に帰結しました。億劫だと思いながらも少しずつ取り組むと、余計な負荷がかからず、だいぶ楽に走れることを実感しました。
農作業(に限らず、どんな作業・仕事も同じだと思いますが)においても、「少し負荷が増えるだけだから大丈夫だろう」「この程度の消耗なら乗り切れるだろう」といった判断をし続ければ、限界に早く到達してしまいます。一方で、日々の点検にしっかりと取り組み、基本に忠実に、基盤を整えることは、作業の負荷を小さくし、結果として、能率の良い作業を長く継続できることにつながります。
正しい作業手順の重要さを実感していた折に、参加した農作業安全のシンポジウムでは、さらに「正しい方法を知ることはもちろん、『やってはいけないこと』をきちんと理解する必要がある」とのお話がありました。100点満点の正しい方法が実践できなくても、やってはいけないことはやらないということは順守しなければなりません。では、やってはいけないことは何でしょうか?この機会に改めて、お持ちの機械の取扱い説明書等を読み返して頂ければ、ある程度の答が得られるのではないでしょうか。
これから迎える2019年下半期、農業機械や用具類だけでなく、ご自身の体調やその日の天候等も含めた日々の確認・点検等の多種多様な「億劫」を繰り返しながら、今まで以上に安全を意識した作業に取り組んで頂き、半年後には「安全に作業のできた1年だった」と振り返ることができるよう、祈念しています。