農研機構

NARO Topics

【なろトピックス】では、農研機構の旬な情報や注目のアレコレを紹介します。

北海道十勝発スマートフードチェーンプロジェクト事業化戦略会議2023を開催

帯広市民文化ホールおよびオンラインでの参加者に向けて本プロジェクトの取り組みが紹介されました

農研機構は2023年3月24日に帯広市にて、北海道十勝発スマートフードチェーンプロジェクト初となる「事業化戦略会議2023」を開催しました。本プロジェクトでは、北海道における農業産出額の2割を占める十勝地域において、「農業・食品版のSociety5.0」の実現を加速化させることにより、農畜産物の生産性および収益性の向上を目指しています。本会議には会場74名、オンライン284名、計358名の方々にご参加いただき、AIや気象データの利用によるテンサイの収量予測、自給飼料生産の効率化などについて発表しました。農研機構は、今後も本プロジェクトの推進に取り組み、十勝地域を起点とする北海道全域の農業・食品産業の競争力強化を通じて、地方創生に貢献します。

※Society5.0とは : 日本が提唱する未来社会のコンセプト

NARO CHANNEL
動画で見る「熱利用」

農業分野の中で今まで見過ごされていたエネルギーを有効活用する研究が進められています。「熱」を利用した事例をご紹介します。

堆肥発酵熱の回収・利用技術

堆肥を作るときに発生する排気は60~70°C。この排気の熱エネルギーを熱交換器によって回収し、乳牛の飲み水を温めることに利用しています。乳牛は、1日約100リットルの水を飲みます。冬場はその水が10°C以下になりますが、温めた水を与えることで、飲水量、乳量が増加するという結果が得られています。

農業用水を有効活用してビニールハウスの冷暖房に利用! ~流水熱利用技術~

農業用水路を流れる水の温度は、気温よりも夏は低く冬は高いので、この温度差を利用してビニールハウス内の温度調整が可能です。このような水路の水から取り出す熱は再生可能エネルギーであり、温室効果ガスの排出削減にも貢献できます。広報なろNo.27の記事もご参照ください。

プレスリリース
超音波でヤガ類の飛来を防ぐ手法を確立

農研機構などは、幼虫が農作物を食害するハスモンヨトウなどのヤガ類の行動習性に着目し、超音波を使った害虫防除法を確立しました。ヤガ類の成虫は(はね)の付け根近くにある「耳」で音を感じとり、天敵のコウモリがエサを見つけるために発する超音波に反応して逃げ出します。本成果では、ヤガ類が共通して嫌い、聴覚的に慣れにくい超音波をほ場周囲に広く照射することで、ヤガ類が産卵のために農作物へ飛来することを未然に防ぐことに成功しました。幼虫への殺虫剤の散布回数を大幅に削減できることから、害虫の薬剤抵抗性の発達防止や、減農薬栽培の促進にも役立つと期待されています。

イチゴのハウス内に超音波スピーカーを設置(矢印)

スピーカーの配置と超音波の伝播の様子

プレスリリース
イチゴのジャストインタイム生産に向けた収穫日の精密予測・制御技術を開発

生食用、製菓やジャムなど幅広い用途で使われるイチゴは、年間を通じて一定の需要がありますが、例えばクリスマスケーキ用途で需要が高まる週の前週比は、市場の卸売数量が1.37倍、販売単価は1.47倍にも上ります。そのため、こうした需要の増減に対応できる生産・出荷体制の構築が非常に重要です。農研機構では、収穫時期を需要期に合わせることが可能なジャストインタイム(JIT)生産システムの実現に向け、イチゴの収穫日を高精度に予測し制御する技術を開発し、人工気象室内で実証しました。今後は、ハウスや生産施設での検証を進め、JIT生産システムの普及を目指します。

※イチゴのJIT生産システム : 需要動向を踏まえて、高精度で収穫時期を調整し、計画的な出荷を行う生産技術。生育センシング、収穫日予測モデル、収穫日制御技術を組み合わせ、収穫時期の調整を実現する。生育センシングは開発済み(2022年5月にプレスリリース)。

イチゴのジャストインタイム生産システムの概要

プレスリリース
農研機構育成のパン用小麦品種「はる風ふわり」の普及が拡大

ウクライナ情勢などにより小麦の国際価格が高水準で推移しており、国産小麦の安定供給が求められています。一方、西日本を中心に栽培されているパン用小麦「ミナミノカオリ」は、収穫時期と重なる梅雨の降雨で穂発芽を生じやすく、品質低下が問題となっていました。そこで注目されたのが、穂発芽しにくく、高品質の輸入小麦並みに製パン性が優れるパン用小麦品種「はる風ふわり」です。奨励品種に採用している佐賀県では、2022年産で前年比2.3倍の約1,000haに栽培面積が拡大。同品種をブレンドした家庭用小麦粉の商品化に加え、同品種100%の業務用小麦粉が販売されました。さらなる普及拡大が見込まれます。

※穂発芽 : 収穫時期の降雨で、穂についたままの種子が発芽する現象。種子中のアミラーゼ活性が高まることで、でんぷんが分解され、小麦の商品価値が失われる。

「はる風ふわり」がブレンドされた家庭用小麦粉製品

「はる風ふわり」100%の業務用小麦粉製品

農研戯画

タイトル「カエル研究員、ChatGPTを使う!」
1
カエル「ギャー 論文のシ・メ・キ・リに間に合わない!そうだ!ChatGPTに論文を書いてもらおう」
2
ウサギ「ChatGPTを使って論文を書くなんて!しかし、どんな論文ができるのか気にはなる」
3
ウサギ「あれ、懸命に何やってるんだろう?」「論文の進捗はどうです?明日が締切ですよ。ちょっと見せてください」
4
ウサギ「カエル研究員の実験から得た新しい知見は結局書かないと論文にならないのか!」カエル「論文はやっぱり自分で書かないとね」ウサギ「参考になった!」