農作業安全コラム

フェイスシールドにもいろいろ

R2年7月 皆川 啓子

 先月のコラムでは、農薬用のマスクの種類について紹介がありました。
 新型コロナ感染症対策の道具立てとして、マスク以外にフェイスシールドが目などの粘膜を通しての飛沫感染を防ぐために有用だと言われています。クリアファイルを使用した手作りのものから、楽器のドラムヘッドを作成する会社など異業種から参入して作成されたものまで様々なものがニュースになっており、皆様も見聞きしていることと思います。

 一方、農業においてフェイスシールドは、身近なものと感じられている方もいらっしゃるかもしれません。除草シーズンの今、刈払機を使用しての除草作業では、飛散物から作業者の目を守るために保護めがね、またはフェイスシールドを使用することが推奨されています。この除草作業で使用するフェイスシールドは、上述の感染症対策のものと形がよく似ていますが、当然ながら使用目的が異なり、代わりにはなりませんので、使用時には必ず用途をご確認ください。

 機械除草により発生する飛散物には、石や欠けたチップ等、硬い物も多く、十分な強度が必要です。当センターが実施している安全装備検査において刈払機が合格するためには、作業者の目を守るために基準を満たした保護めがねが付属されていることが条件の一つになっています(参照:農業機械の安全装備いろいろ/刈払機 別ウィンドウ)。基準を満たした保護めがねとは、硬い飛散物への対策として有効な「JIS T 8147」や「ANSI Z87.1」などの規格に適合したものとなります。こちらの規格の詳細については、ミドリ安全(株)のウェブサイト 別ウィンドウでも紹介されています。顔全体を保護したい、保護めがねが使いにくい、という方には、同等の規格に沿って作成された十分な強度を持ったフェイスシールドがおすすめです。帽子の上から装着できるもの、ヘルメットと一体のもの等もあります。

 以前のコラムでも触れましたが、機械除草時の飛散物による失明の事故は後を絶たず、たった一度の事故が、ご本人の人生だけでなく、経営そのものやご家族の生活まで揺るがしてしまうことも珍しくありません。特に、刈払機はホームセンターでも気軽に購入ができ、農業者のみならず一般の方の事故も多いことから、消費者庁からもこの6月に改めて注意喚起 別ウィンドウがなされたところです。
 暑い時期と除草作業は重なるため、熱中症にも留意しつつ、適切な保護具を装着した上での作業をお願いします。

 

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