農作業安全コラム

マンガで描かれた農作業事故

R6年12月 菊地 豊

  今回は農家のエピソードや農業の蘊蓄(うんちく)がコミカルに描かれているマンガ「百姓貴族」について農作業事故に関する部分を紹介します。作者は少年マンガ「鋼の錬金術師」、「銀の匙silver spoon」などでも有名な漫画家の荒川弘氏です。コミックの他に、深夜のテレビ放送や動画投稿サイトでも一部見られます。農林水産省の子供向けweb「いのち・食べもの・環境について「百姓貴族」から学ぼう」1でも紹介されています。
  北海道の酪農や露地野菜作を営んでいる荒川農園を舞台として、元農家である作者と編集者との対談形式でエピソードを紹介しています。
  マンガの中で農作業事故の一つとして「ある日農家の男性が乗用トラクタと牧草収穫機の間にある回転中のドライブシャフト(回転軸)を跨いだ時に、つなぎ服の袖が巻き付きあわや、体も巻き込まれそうになり、とっさの判断で立ち姿勢で脚をつっぱった。その結果、ケガを逃れたものの、一瞬で下半身が素っ裸になってしまった(第2巻)。」といったエピソードが描かれています。機械に巻き込まれた結果、素っ裸になったという落ちをつけたことで深刻にならずに笑えるよう工夫されています。
  私はこんなこと時々あるあると笑ったのですが、部下に見せるとこんなことあり得ないと笑っていることに驚きました。
  ちなみに、農作業安全情報センターの事故事例検索で類似の事故が報告されています。

事例1:トレーラの使用前点検中、トラクタとトレーラの間の操作レバーでダンプ操作を行っていたところ、衣服がユニバーサルジョイントの接続部に巻き込まれた。(報告書No.230)

事例2:バキュームカーでのふん尿の吸入がうまくいかず、吸排切替レバーを操作していたところ、ヤッケの裾が剥き出しのユニバーサルジョイント接続部に巻き込まれ、上半身を負傷。(報告書No.124)

  農作業事故を笑いながら学べる貴重なマンガと思い、安全講習会などで紹介することがあります。興味の湧いた方はいかがでしょうか。

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キーワード:事故/乗用トラクター/運搬・移動/点検・整備・清掃
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