コンバインの後進時には注意
R7年12月 梅野 覚
皆様は、自脱コンバインや普通コンバイン(以下、コンバイン)で後進する際に、後ろが見えにくいなと感じたことはないでしょうか。
筆者らは、農業機械の周囲の視認性に関する問題を明らかにするため、農業者479人に対して、農業機械の周囲で見えにくいと感じる位置や状況等に関するアンケート調査を行いました。その結果、88.9%の農業者が、農業機械の周囲のどこかが見えにくいと認識しており、特に作業機付きの乗用トラクタ、コンバイン、田植機で、後方が見えにくいと感じていました。また、コンバインに関しては、運転席から見て左側や後方が特に見えにくいという結果となりました。この調査結果の詳細はこちら
をご参照ください。
過去には、コンバインで後進した時に、補助作業者に気付かずにひいてしまった事故や、後進しすぎて路肩から転落した事故が発生しています。近年では、後進時の映像を運転席のモニターに映すバックモニターが標準で取り付けられている機体も増えています。もし、所有するコンバインにバックモニターが無い場合は、バックモニターの後付けを検討してはいかがでしょうか。
バックモニターが取り付けられている場合でも、モニターの見え方や死角などもあるため、過信することは禁物です。後進する前に、補助作業者がいないか、障害物や崖などがないかなどをバックモニターだけでなく、ミラーや降車しての直接の目視による後方確認を行った上で後進をお願いいたします。
なお、農研機構 農業機械研究部門では、農作業現場で農業機械の後方の人を検出し、運転者に人がいることを知らせてくれる機能を有するAIカメラを研究開発中です。このようなAIカメラが普及すれば、より後進時の事故リスクが低減されます。農作業事故ゼロの実現に向けて、研究開発を進めてまいります。



