刈払機の飛散物防護カバーの基準改正
H23年2月 塚本 茂善
年が明けて早1ヶ月が経ちました。寒い日が続いており、草刈りシーズンはまだまだ先ですが、シーズンオフの今、あらためて刈払機の安全装備である飛散物防護カバーについてご紹介したいと思います。
生研センター(現:革新工学センター)ではご存じの通り農業機械の安全鑑定を実施しており、刈払機もその対象機種となっています。この刈払機の飛散物防護カバーに関する安全鑑定基準が平成22年度に改正されました。飛散物防護カバーは草刈り作業中に刈刃によって発生する飛散物から作業者を守るための安全装備で、大変重要な安全装備の1つです。
しかしながら生研センター(現:革新工学センター)が行った使用実態調査では、草が絡まる、作業能率が悪くなるといった理由から、約半数の方が飛散物防護カバーを取り外す、あるいは正規の取付け位置からずらして使用しているということがわかりました。
そこで生研センター(現:革新工学センター)では平成14年から各種刈刃による飛散物の発生状況の把握や飛散物防護カバーの形状違いによる作業能率への影響について研究を行い、その結果をもとに刈払機メーカーの方々と検討を進め、基準の改正を行いました。これまでは刈刃を基準に飛散物防護カバーの寸法が規定されていましたが、新しい基準では作業者の防護すべき範囲を規定し、その範囲を防護できるような飛散物防護カバーであれば、その形状はある程度自由にできるようになりました。
これにより今までよりも作業者の防護される範囲が広くなり、なおかつ作業性の悪さを解消することが可能で、先に述べた作業性の悪さを理由に飛散物防護カバーを取り外す、あるいは正規の取付け位置からずらして使用するといったことがなくなるものと期待しています。すでにこの新しい基準に適合した刈払機も出てきており、今後刈払機の飛散物防護カバーについては、今までとは異なる形状のものが登場してくると思われます。
安全鑑定基準の詳細については、当センターのHPをご覧ください。また、刈払機のその他の安全装備についても農作業安全情報センター内の「農業機械の安全装備いろいろ」でご紹介しておりますので一度ご覧いただければ幸いです。今後も農業機械の安全性向上を目指して、一歩一歩前進していきたいと思います。