農作業安全コラム

農用運搬車の転倒事故対策

H24年5月 原田 一郎

 少し先の話になりますが、3月に開催された安全鑑定推進委員会での了承を受け、農用運搬車1へのTOPS規格(ASAE S547)適用を、平成25年度から安全鑑定基準へ導入することが決定しました。

 このことは、平成22年10月のコラムでもご紹介したワーキンググループにおいて検討を進めてきたものです。これによってこれまで転倒時の運転者防護対策がなされていなかった農用運搬車についても、安全鑑定において機体転倒時の運転者保護装置として上記TOPS(安全フレーム)の装着が要求されることになります2、3

 TOPSというのは、車体が側方に転倒した際に、横倒しまでにとどめることで運転者が車体の下敷きになるのを防ぐものであり、トラクターの安全キャブ・フレーム(180度転倒を想定)とは異なりますが、今回の改正では、このTOPSについても安全フレームという名称で呼ぶことにしています。

 また、改正の対象は、乗用で座席のついたタイプのみについてであり、明確な座席のない乗用・歩行兼用タイプなどについては対象外としています。しかしながら、今回の改正を始めの一歩として、今後さらに農用運搬車の安全対策が進むことを期待しています。

  1. 安全鑑定上の正式名称は「農用運搬機(乗用型)」、または「圃場内運搬機」。
  2. 安全フレームは標準装備でなくてもよい。用意されていて、装着可能であればよい。
  3. 「農用運搬機(乗用型)」、または「座席を有する圃場内運搬機」についてのみ(走行配列が特殊である、あるいは安全フレームに代わる運転者防護のための装備がなされていると認められるものは除く)。

転倒イメージ

 

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