生物系特定産業技術研究支援センター
(27019C) 劇的な茶少量農薬散布技術と天敵類が融合した新たなIPM (総合的病害虫管理) の創出
| 事業名 | 農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業(実用技術開発ステージ) |
|---|---|
| 実施期間 | 平成27～29年(3年間) |
| 研究グループ (研究終了当時) |
鹿児島県農業開発総合センター茶業部、佐賀県茶業試験場、長崎県農林技術開発センター果樹・茶研究部門茶業、研究室、宮崎県総合農業試験場茶業支場、鹿児島大学農学部害虫学研究室、農研機構 果樹茶業研究部門、松元機工株式会社、佐賀県杵藤農林事務所藤津農業改良普及センター、長崎県農林技術開発センター果樹・茶研究部門茶業研究室、宮崎県児湯農林振興局農業経営課、鹿児島県南薩地域振興局農政普及課 |
| 作成者 | 鹿児島県農業開発総合センター茶業部 浅井 淳也 |
1 研究の背景
厳しい茶業情勢を打開するには、品質・低コスト両立対策が必要であり、全国の茶園に対応し、農薬散布量を慣行比 1/5 ～ 1/2 程度まで削減できる新型少量農薬散布機を開発・改良する。
事例的な1農薬だけではなく、年間で全体的な農薬散布量削減を目指す。
2 研究の概要
全国の茶園に対応し、農薬散布量を慣行比 1/5 ～ 1/2 程度まで削減できる新型少量農薬散布機を開発・改良する。
得られた知見をマニュアル化して普及に直結させる。
3 研究期間中の主要な成果
異なる地形の茶園に対応可能な少量農薬散布機4タイプを開発し、病害虫の発生程度に応じた削減可能な散布量を明らかにした。
4 研究終了後の新たな研究成果
該当なし
5 公表した主な特許・品種・論文
- Yorozuya, H., Analysis of tea green leafhopper, Empoasca onukii (Hemiptera: Cicadellidae), by detecting stylet probing behavior with DC electropenetrography. Entomologia Experimentalis et Applicata 165, 62-69 (2017).
- Kakoki, S. et al. Use of a lower-volume, surface pesticide spray conserves spider assemblages in a tea field. Journal of Economic Entomology 111, 1595-1604 (2018).
- Kakoki, S. et al. The response of three species of phytoseiid mite (Acari: Phytoseiidae) to synthetic pyrethroid pesticides in the laboratory and the field. Experimental and Applied Acarology 77, 27-41 (2019).
6 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開
(1) 実用化・普及の実績
- 全国で少量農薬散布機(装置) の販売台数162台。
- 技術マニュアルを作成し、コンソーシアム会員、茶生産者、茶技術員に配布した (6,500部)。
(2) 実用化の達成要因
一部の市町で補助事業を活用し、少量農薬散布機の導入が促された。
(3) 今後の開発・普及目標
研究期間終了後は普及段階に入っており、現場での普及の動きに対して、アドバイザー的な立場で成果の普及を推進している。
7 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献
農薬使用量を低減することで天敵類を温存し、環境に優しい農業を実践した。
病害虫の発生状況や茶樹の生育ステージの調査を行う課程で、茶業技術員のスキルアップや人材育成につながった。
