生物系特定産業技術研究支援センター
(22033) 森林再生と未利用森林資源の利用推進を支援する森林管理システムe-forestの開発と実証研究課題名
| 事業名 | 農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業(実用技術開発ステージ) |
|---|---|
| 実施期間 | 平成22～26年(5年間) |
| 研究グループ (研究終了当時) |
三重県林業研究所、三重大学、筑波大学、森林総合研究所、トヨタ自動車株式会社、中部電力株式会社、株式会社森林再生システム、大台町 |
| 作成者 | 三重県林業研究所 野々田 稔郎 |
1 研究の背景
成熟期を迎えた国内人工林の管理と資源利用を効率的に推進するためには、森林資源現況の把握と類型化、現況に応じた施業方針の決定など、森林管理計画を流域単位で策定する必要がある。
2 研究の概要
モデル流域 (三重県大台町の山林) を選定し、管理計画策定時に必要な資源情報、成長予測、管理コストなどを森林状況に応じて提供できる「森林管理支援システム」の開発と実証を目的とした。
3 研究期間中の主要な成果
- 森林情報 (樹木位置、直径、枝下高など) を平易かつ詳細に取得可能な地上レーザ計測装置を開発した。
- 各中課題の成果を統合し、林業の現場で施業選択上必要な情報 (資源現況、成長量予測、管理コストなど) が取得できる「森林管理支援システム」を開発し、現場実証において、効果を確認した。
4 研究終了後の新たな研究成果
- 松村直人他 (2015) スマート林業を実現する新たな森林管理システムe-forestの設計、三重大生物資源学研究科紀要 41 : 35-42
- 上記業績などで森林計画学賞を受賞 (2018森林計画学賞、松村直人、森林計画学会)
5 公表した主な特許・品種・論文
- 取得特許「樹木情報計測方法、樹木情報計測装置、プログラム」(特許第5269729号)
- Chiba, Y. A modeling approach to sustainable forest management:"Virtual Forest"predicts forest growth and canopy structure. JIRCAS Working Report 74, 7-12 (2012)
- 松村直人他 (2015) スマート林業を実現する新たな森林管理システムe-forestの設計、三重大生物資源学研究科紀要 41 : 35-42
6 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開
(1) 実用化・普及の実績
森林3次元計測システムOWL (アウル) として、株式会社森林再生システムから2015年12月に販売し、国有林、民間調査会社、市町村、研究機関などに購入されている。販売台数20台。1台あたり423万円 (税抜き)。今後の販売目標は年間20台程度。
(2) 実用化の達成要因
林野庁・県などを中心として、林業の成長産業化の政策が導入され、森林資源の高精度情報の取得が加速された。
(3) 今後の開発・普及目標
山林内での計測を容易にするべく、測定装置の軽量化、ソフトウェアの改良を検討していく。
7 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献
国土の7割近くを占める山林の高精度情報が得られることは、国土保全や地域振興上非常に有益であり、国民の関心も高まり、森林生態系の保全や森林の多面的機能発揮への期待が大きくなる。
