生物系特定産業技術研究支援センター
(26082C)茶生葉との共溶解技術を利用した摘果ミカンからの高溶解フラボノイド含有食品等の開発
事業名 | 農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業(実用技術開発ステージ) |
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実施期間 | 平成26年~28年(3年間) |
研究グループ (研究終了当時) |
長崎県農林技術開発センター、九州大学、長崎大学、長崎県立大学、JA全農ながさき、アダプトゲン製薬株式会社、 株式会社サンダイ |
作成者 | 長崎県工業技術センター 宮田裕次 |
1 研究の背景
摘果ミカンには難溶性であるが機能性が高いとされるフラボノイド類が多く含まれている。そこで、ヘスペリジンの水溶性と吸収性を向上させた新たな高機能性素材を提供するための食品等の加工技術を確立・提案する。
2 研究の概要
共溶解揉捻技術に見合う摘果ミカンの効率的採取、製茶工場での難溶性フラボノイド類の水溶性と吸収性の向上技術・最適条件の設定、機能差別化を図るためヒトでの血管柔軟性などの効果について検証を試みる。
3 研究期間中の主要な成果
- ヘスペリジンを多く含む摘果ミカンの採集時期、効率的な採取方法、摘果ミカンを食品として活用できる防除体系を確立した。
- 摘果ミカンと茶生葉を1:3の割合で20分間揉み込むことで、ヘスペリジンの水溶性と生体内への吸収性を高める新しい発酵茶(ミカン混合発酵茶)の製造技術を確立した。
4 研究終了後の新たな研究成果
- ミカン混合発酵茶は、高めの血圧(収縮期血圧)を下げる機能を確認し、機能性表示食品として販売中。
- ミカン混合発酵茶は、ヒトにおいて冷え性、肩のこり、疲労感、睡眠の質を改善することを明らかにし、機能性表示食品として消費者庁に申請中。https://nagasakinsfund.com/r2sandai/
5 公表した主な特許・品種・論文
- 特許第6826347号冷え性改善用、肩こり改善用、疲労回復用又は睡眠改善用の組成物、それを含む食品、薬品、組成物キット、及び、その組成物の製造方法(出願人 : 長崎県、長崎県立大学)
- 宮田他. 摘果ミカンと緑茶三番茶葉を混合揉捻して製造した発酵茶摂取が動脈血管の柔軟性に及ぼす影響. 薬理と治療49(1), 63-69 (2021).
6 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開
(1) 実用化・普及の実績
- 長崎県内において年間、摘果ミカン12t収穫、茶生葉36t摘採し、茶生産工場でミカン混合発酵茶を乾物で9.6t製造している。
- 2021年から株式会社シャルレが、機能性表示食品として「青みかん入りまるごと発酵茶」(高めの血圧を下げるのをサポート)を販売。
(2) 実用化の達成要因
長崎県農林技術開発センターが、ミカン生産者へ高含有ヘスペリジン摘果ミカンの採取指導、茶生産者へのミカン混合発酵茶の製造技術移転を図った。(株)サンダイが、ミカン混合発酵茶の供給体制の確立と販路拡大を図った。
(3) 今後の開発・普及目標
製品形態についてエキス化粉末化としての新たな素材開発を行う。更に、ヒトにおいて認知機能の維持・改善効果の検証、機能性表示食品の届出を行う。
7 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献
ミカン混合発酵茶を製造することで、ミカン及び茶生産者の所得向上。ミカン混合発酵茶の機能性表示食品取得で、食品企業の売上げ増加。国民が、ミカン混合発酵茶を摂取するすることで健康維持に貢献できる。