生物系特定産業技術研究支援センター

(c011)大規模水稲経営体の収益向上のための実証研究

事業名 革新的技術開発・緊急展開事業(うち地域戦略プロジェクト)
実施期間 平成28年~30年(3年間)
研究グループ
(研究終了当時)
石川県農林総合研究センター農業試験場・中央普及支援センター、南加賀・石川・県央・中能登・奥能登農林総合事務所、JAグループ石川営農戦略室、全農石川県本部
作成者 石川県農林総合研究センター 村濱稔・宇野史生

1 研究の背景

水稲の省力栽培である密苗栽培と近年育成が進む水稲の多収品種を組み合わせた低コスト栽培と密苗導入に伴い空いた水稲育苗ハウスの有効利用策を構築する。

2 研究の概要

水稲多収品種「ひゃくまん穀」等の密苗栽培への適応とコスト低減効果の解明と、水稲育苗ハウスを活用したフリージア(エアリーフローラ)の育苗箱栽培技術を構築した。

3 研究期間中の主要な成果

  • 水稲多収品種の密苗栽培により、慣行品種・苗に比べて玄米1kg当たりの生産費を20%削減できることを明らかにした。
  • 出荷率の高い水稲育苗ハウスでのフリージア栽培技術を構築するとともに単価の高い新品種(石川f8~f10号)を育成した。

4 研究終了後の新たな研究成果

フリージア(エアリーフローラ)の新品種石川f11号を育成した。

5 公表した主な特許・品種・論文

  • 品種登録番号27751~53 フリージア品種石川f8~f10号が品種登録(令和2年1月) (出願者名 : 石川県)
  • 品種登録出願番号34007 フリージア品種石川f11号を品種登録出願(令和元年6月) (出願者名 : 石川県)
  • 宇野史生他.石川県における水稲多収品種の生産費が最小になる育苗箱当たり播種量および栽植密度.日本作物学会紀事90(3), 252-260 (2021).

6 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開

(1) 実用化・普及の実績

  • 石川県内で密苗移植栽培について1,600ha、水稲多収品種ひゃくまん穀について1,700haに普及している(令和3年)。
  • 水稲育苗ハウスを利用したフリージア(エアリーフローラ)栽培が23経営体で実施され、14万本が出荷されている(令和3年度)。

(2) 実用化の達成要因

密苗と多収品種は専用田植機の市販化と品種の一般栽培に合わせた栽培技術の提供により普及した。
エアリーフローラは水稲経営体でも取り組みやすい育苗ハウス利用型栽培と安定した種苗の供給により普及した。

(3) 今後の開発・普及目標

ひゃくまん穀の出荷量1.5万t、フリージア(エアリーフローラ)の出荷本数100万本を目指す。

7 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献

水稲栽培の省力・低コスト化による収益向上および経営規模拡大、水稲生産者の園芸品目導入による複合化の足掛かりとなる。