生物系特定産業技術研究支援センター
(c056)次世代の果樹栽培法「根圏制御栽培法」導入実践による産地活性化
事業名 | 革新的技術開発・緊急展開事業(うち地域戦略プロジェクト) |
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実施期間 | 平成28年~30年(3年間) |
研究グループ (研究終了当時) |
栃木県農業試験場、福島県、埼玉県、東京都農林総合研究センター、新潟県農業総合研究所園芸研究センター、 三重県、サントリーワインインターナショナル株式会社、三共包材株式会社、ヤンマーアグリジャパン株式会社、大内わら工品株式会社、栃木県農政部経営技術課 |
作成者 | 栃木県農業試験場 |
1 研究の背景
果樹において萎縮症や老木化・土壌病害等による生産性の低下が深刻である。そこで、改植の際に盛土式根圏制御栽培法を導入・普及することにより、これらの課題を解決するほか、早期多収の実現を図る。
2 研究の概要
果樹における盛土式根圏制御栽培法の多樹種での実証と現地評価を行う。本技術に適応した安価・効率的な施設を開発する。樹種に適したクローン苗養成方法を開発する。本技術の普及を加速させるための指導者養成や導入者の技術習得を行い、産地基礎体力の向上・活性化を図る。
3 研究期間中の主要な成果
- 盛土式根圏制御栽培の早期多収性を8樹種で実証し、7樹種に関して「果樹の根圏制御栽培法導入マニュアル(基礎編・樹種編)」として作成・公開した(盛土式根圏制御栽培法導入面積 : 18.1ha)
- 部材削減とパイプ固定部の扁平化による強化で自己施工が可能な果樹盛土式根圏制御栽培専用Y字棚を開発し、特許申請した。
4 研究終了後の新たな研究成果
- 盛土式根圏制御栽培法導入面積:18.4ha
- 果樹盛土式根圏制御栽培専用Y字棚が特許登録(特許第6928932号)
- 福島県内の現地実証ほ場においてブドウの早期多収性を改めて実証した(定植2年目に1080kg/10a)。
効率的な肥培管理法を明らかにした(基肥窒素は緩効性:即効性=8:2)。※食料生産地域再生のための先端技術展開事業「栽培中断園地における果樹の早期復旧に向けた実証研究)を活用」
5 公表した主な特許・品種・論文
特願2017-113366 (果樹の支持構造及びこれに用いるY字仕立用誘引パイプ) (出願人 : 栃木県、三共包材株式会社)
6 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開
(1) 実用化・普及の実績
- 盛土式根圏制御栽培法導入面積 : 18.4ha
- ナシの導入事例 : 収穫量(品種 : 幸水)慣行栽培2.5t/10a → 根圏栽培4.0t/10a
(2) 実用化の達成要因
導入方法をマニュアル化し公開した。また、関連企業と連携し、普及に資する施設や機械の開発を行った。
(3) 今後の開発・普及目標
導入現場で発生する各種課題を解決し、本技術の定着・拡大を図る。
7 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献
果樹生産の早期多収が可能な本技術の普及により、生産性の高い園地への転換が図られることで産地基盤を強化し、品質の高い果樹を安定供給できる。