生物系特定産業技術研究支援センター
(6) 北部九州における稲麦大豆多収品種と省力栽培技術を基軸とする大規模水田高度輪作体系の実証
事業名 | 攻めの農林水産業の実現に向けた革新的技術緊急展開事業 |
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実施期間 | 平成26年~27年(2年間) |
研究グループ (研究終了当時) |
農研機構 九州沖縄農業研究センター、福岡県農林業総合試験場、佐賀県農業試験研究センター、井関農機(株)、(株)クボタ、佐藤商会、日本ブライス(株) |
作成者 | 農研機構 九州沖縄農業研究センター 入来 規雄 |
連絡先 | 農研機構 九州沖縄農業研究センター 電話:0942-52-0602(入来 規雄) メール:q_info[アット]ml.affrc.go.jp(問い合わせ窓口) nakak[アット]affrc.go.jp(中野 恵子) kofukami[アット]affrc.go.jp(深見 公一郎 ) ※[アット]を@に置き換えてください |
1 研究の背景
北部九州地域は、日本で最大の二毛作水田地帯であるが、今後、若手の担い手が競争力の高い大規模経営を実現していくために、大規模経営が可能な、省力で低コストに作物生産ができる技術体系が必要である。
2 研究の概要
べんモリ(べんがら(酸化鉄)+モリブデン化合物の略)被覆種子による水稲湛水直播、表層散播技術、部分浅耕一工程播種など省力性に優れた栽培方法で収量性・収益性の高い水稲、大豆、大麦、小麦の新品種を生産することで大規模化と大幅なコスト低減を実現する体系を実証する。
3 研究期間中の主要な成果
- べんモリ被覆による水稲湛水直播は従来法と比べて資材費が1,000円/10a安く、被覆時間も短縮でき、多品種で十分な苗立ちと収量が得られた。
- 表層散播と振動鎮圧による水稲乾田直播、アップカットロータリによる大豆一工程播種、大麦の表層散播体系を開発し、作目合計の60kg当たり生産費は7,963円で平成20年産統計値に比べ27%低減となった。
- 部分浅耕一工程播種による水稲乾田直播、大豆及び麦栽培を行い、作目合計の60kg当たり生産費は8,209円で平成20年産統計値に対して25%の低減となった。
4 研究終了後の新たな研究成果
- べんモリ資材の改良 : 被覆作業をより簡易とする高比重の改良資材を開発し、2018年に販売され好評であった。鉄コーティング用の種子被覆時に混和する農薬(いもち防除剤)が利用できることを示し、その利用も2018年に普及した。
- 一工程播種の高速化 : 一工程播種においてはアップカットロータリを使用していることから所要動力が大きく作業速度が遅いという問題がある。そこで、アップカットロータリの高速化技術を開発した(特許出願中)。
5 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開
(1) 実用化・普及の実績
- べんモリ湛水直播技術について全国で約2000ha普及した(推定値)。
- 表層散播技術について、播種機が推定で580~800haまで普及した。
- 部分浅耕一工程播種について、福岡県内の乾田直播全体でおよそ30haで導入された。
(2) 実用化の達成・普及の要因
課題が水稲直播、播種作業の高速化等のニーズとマッチしていたこと、普及機関と試験研究機関の連携が良かったこと、などによる。
(3) 今後の開発・普及目標
べんモリ被覆については資材の改良、表層散播、浅耕播種及び振動鎮圧については高速化技術の開発を行う。
6 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献
べんモリ関連では全国で600万円相当の省力効果が得られた。表層散播では平成20年度統計値に比べて水稲、大豆、大麦の合計で60kg当たり生産費を27%低減し、浅耕播種では同じく水稲生産費について平成30年度において1600万円相当を低減した(30ha相当の試算値)。