生物系特定産業技術研究支援センター 研究資金業務

イノベーション創出基礎的研究推進事業(終了)

2011年度 継続審査結果

インシリコ予測に基づいた植物の新規機能性低分子ペプチドの探索

研究代表者氏名及び所属

花田 耕介(理化学研究所 植物科学研究センター)

継続審査結果概要

本研究ではホルモン様作用を有する低分子ペプチドをコードする遺伝子を情報解析によって推定し、実験的に植物の成長制御並びにストレス耐性機能を示す低分子ペプチド遺伝子を発見し、作物の収穫増大と厳しい環境下での栽培を可能にする農法に資することを目指した。

インシリコでの機能性ペプチドの検索・解析研究では、新たなプログラムを開発して、シロイヌナズナおよびイネで低分子ペプチドをコードすると思われる遺伝子を多数同定するとともに、遺伝子発現状況を解析し、データベースを構築した。植物体を用いた成長制御ペプチド・ストレス耐性ペプチドの探索研究では、遺伝子の過剰発現体を作製して、イネで草丈が短くなる遺伝子を1個、シロイヌナズナでは植物の成長やストレス反応に関与が推定される69個の遺伝子を発見し、乾燥並びに高温ストレス耐性を示す遺伝子については各2個の機能を確認した。また、4個の遺伝子をについて詳細に解析して、形態の変化やストレス耐性を誘導することを明らかにした。

以上の一連のペプチド探索研究結果を勘案すると、形態形成やストレス耐性に関係する機能を示す「低分子ペプチドをコードする遺伝子」を同定するという当初の研究目標は達成され、今後の植物研究に新しい研究課題を与えうる成果を上げたと判断される。

継続研究においては、さらに過剰発現体を解析し、成長制御およびにストレス耐性に関するペプチドの同定、合成低分子ペプチドの投与による植物への影響の調査、表現型のデータベース化といった内容が計画されている。これまでの進捗状況から、これらの計画は十分実行可能であると思われる。特に、外部からの合成ペプチドの投与効果が確認できれば、生物系特定産業に与えるインパクトは非常に大きくなるため、より多くの作物を対象とするなどして研究を継続する意義は大きい。