生物系特定産業技術研究支援センター 研究資金業務

イノベーション創出基礎的研究推進事業(終了)

2012年度 継続審査結果

微生物発酵法による植物アルカロイド生産と生薬開発への応用利用

研究代表者氏名及び所属

南 博道(石川県立大学 生物資源工学研究所)

継続審査結果概要

植物の産生するモルヒネ等のアルカロイドは医薬品として利用されているが、植物体内に微量にしか含まれないものも多く、その効率的な生産方法の開発が望まれおり、本研究では、ケシアルカロイドを中心として、多様な構造を有するイソキノリンアルカロイドの微生物発酵法による実用的生産技術を確立することを目的として展開された。その過程で、細胞を使った生産で問題となる近縁化合物の副生、下流生成物による上流酵素反応阻害などが明らかになり、その問題を酵素への変異導入、大胆な経路の改変、新規経路の利用、発現量の調節等を複合的に組み合わせることにより克服した。その結果、アルカロイド生産の中間体である(S)-レチクリンについては、グルコースを出発原料として0.5 g/Lという実用レベルの生産を達成しており評価できる。また、各種酵素を微生物に導入し既知のアルカロイドや新規アルカロイドの生産にも成功するなど評価できる。

以上のようにこれまでの3年間、精力的に研究を進めてきており、新しい展開につながる成果も出ている。研究を継続することで、微生物によるケシアルカロイド生産という大きな成果に結びつく可能性が十分あり、将来微生物発酵産業に寄与する可能性は大きいと思われる。ただ、現状の研究計画は多くを盛り込みすぎており、出口を見据えた焦点に絞り、出来るだけ具体的な計画を立て研究を進めて頂きたい。