生物系特定産業技術研究支援センター 研究資金業務

イノベーション創出基礎的研究推進事業(終了)

2013年度 継続審査結果

高効率バイオ燃料生産に向けたセルロソーム再構築微生物の基盤研究

研究代表者氏名及び所属

三宅 英雄(三重大学 大学院 生物資源学研究科)

継続審査結果概要

研究対象であるClostridium cellulovoransが生産するセルロソームは、非食用資源であるリグノセルロースを効率良く糖化できる酵素複合体であり、これを発酵微生物に導入することによって、単一の微生物が糖化酵素を生産しかつ発酵を行うことが可能となることから、バイオエネルギー生産における効率的なシステムとして大きなポテンシャルを有することが期待される。これまでの3年の研究において、C. cellulovoransのゲノム情報をいち早く解読し、それをベースにトランスクリプトーム解析およびプロテオーム解析を行った。また、セルロソーム構成タンパク質および関連タンパク質の発現パターン、構成タンパク質の量的な比等を解析した。これらの研究によって、セルロソームによるバイオマス糖化を理解する上で有用な知見を得た。特に、C. cellulovoransが、役割の異なるセルロソーマル酵素とノンセルロソーマル酵素を、対象バイオマスに最適となるよう組み合わせて、これによって高い糖化能力を生み出していることの発見は、当初の予想を超えた成果である。このように、研究の一部は計画を上回って進捗しており、また、得られた成果は高く評価されるものである。セルロソームを実用化するためには、酵素の発現量や適切な前処理技術の開発等の課題が残されているものの、技術シーズの開発という点で、提案された研究延長計画は優れた成果が期待できるものである。以上のことから、本研究は、引き続き現在の体制で継続することが望ましいと判断する。