生物系特定産業技術研究支援センター 研究資金業務

イノベーション創出基礎的研究推進事業(終了)

2012年度 終了時評価結果

リボゾーム工学と不均衡変異導入技術による微生物育種法の開発

研究代表者氏名及び所属

越智 幸三(学校法人鶴学園広島工業大学)

研究参画機関

学校法人鶴学園広島工業大学
株式会社ネオ・モルガン研究所

総合評価結果

当初目標を達成

評価結果概要

 本研究の最大の目的は、「育種法の開発」であり、その新たな切り口として「リボゾーム工学」と「不均衡変異導入法」という最近開発された二つの技術を融合することにより新たな革新技術を開発することにある。研究チームとして連携しつつ当初計画に沿った研究が実施され、代表者が多くの若手研究者を組織して本課題研究の円滑遂行を可能とした統率力および指導力は高く評価される。

サイクロデキストラン生産菌の育種では、安価なスターチを用いた育種と従来のデキストランを基質とした場合のどちらにおいても、不均衡変異導入法とリボゾーム工学の2段階適用の相乗効果が認められている。また、カスガマイシン生産菌の育種では不均衡変異導入法を用いて薬剤耐性菌株を取得するという、言わば2つの技術を融合した方法を試みたが、その結果、カスガマイシンの生産性が高く、かつ、増殖性が落ちない株の育種に成功している。このように、二つの技術の融合により、少なくとも育種の作業効率が大きく改善される可能性が示されている。これらの結果は、リボゾーム工学と不均衡変異導入法の二つの技術を融合することにより、新しい微生物育種法として生物系産業の創出に貢献することが期待できることを示しており、当初の目標を達成していると評価できる。

学術的な成果としては、当該分野の国際的一流誌に原著論文を発表した。今後更に、発表論文数や特許の数の増加も期待出来る。また、本研究を通じて得られた諸技術は、実用化や生物系産業界への貢献も期待される。