生物系特定産業技術研究支援センター 研究資金業務

イノベーション創出基礎的研究推進事業(終了)

2013年度 終了時評価結果

家禽における新規脳内摂食調節因子の機能解明とその利用

研究代表者氏名及び所属

浮穴 和義 (広島大学大学院総合科学研究科)

総合評価結果

  当初計画どおり推進

評価結果概要

 研究代表者はニワトリの脳内において新規脳内摂食調節因子(ブブゼリン)を発見し、また、それらの遺伝子は摂食調節中枢に特異的に発現することを見出した。本研究はブブゼリンの摂食調節やエネルギー代謝調節に果たす役割を解明する一環としてブブゼリンの形態学的および分子生物学的解析を進めると共に、それらを家禽(ニワトリ)と哺乳類のモデル動物(ラット)に投与し、生理機能や作用メカニズムを知ることを目的としている。
 多岐にわたる実験を精力的に行い、ニワトリとラットにおいてブブゼリン産生細胞が摂食中枢の一つである視床下部漏斗核(弓状核)に分布し正中隆起に神経投射していることを明らかにし、また、ブブゼリンの大量発現系の構築を行った。さらに、ブブゼリンはニワトリにおいては摂食を抑制しつつ体重増加を起こすが、ラットにおいては体重増加や摂食量におよぼす作用が逆であること、またそのメカニズムにヒスタミン系や成長ホルモンの分泌などが絡んでいることなどを明らかにした。また、エネルギー代謝に関する基盤的な多くの知見を得た。一方、ブブゼリン投与時の摂取行動と摂食抑制の相関性の解明およびブブゼリン遺伝子をマーカーとした有用家禽品種の選別などに関しては目標達成には至らなかった。また、情報発信に関しては、学会やシンポジウムでの発表は充分に行われており、特許出願もなされているが、研究期間内に国際誌での原著論文発表ができなかったことは残念である。
 以上、当初の目標に対する達成度や情報の発信にやや不満を残すものの、意義のある研究成果が沢山出ており、それらが将来につながるものとして評価したい。