生物系特定産業技術研究支援センター 研究資金業務

イノベーション創出基礎的研究推進事業(終了)

2009年度 採択された研究課題

魚類天然資源から効率的に優良経済形質を選抜育種する技術の開発

研究代表者氏名及び所属

荒木 和男
荒木 和男(水産総合研究センター養殖研究所生産技術部・育種研究グループ)

研究実施期間

平成21年度~25年度(5年間)

研究の趣旨・概要

農畜産業では長い歴史の中で高次元に系統化されたものからの育種をする必要があるのに対して、水産養殖業ではブリやウナギ、マグロなど天然稚魚を捕獲・飼育している産業構造がある。しかし、環境変動に関係なく持続的、安定的な水産物の供給を可能にするためには、天然種苗に依存しない人工種苗による養殖が望まれており、優良経済形質を持つ人工種苗作成のための技術開発が求められている。そこで、本研究では、天然魚から有用な優良経済形質を持つ個体を効率的に選抜できる革新的選抜育種技術の開発を目的に、日本での養殖生産量が多く、国際競争力が期待されるブリに焦点をあて、その遺伝子の多型情報(1塩基多型)を利用してブリの天然種苗から目的の性質を持つ個体を選抜するための、大量解析系の開発を行う。

研究項目及び実施体制(()は研究分担者)

  • Digital PCRを用いた1塩基多型解析系の開発に関する研究
    (水産総合研究ンター養殖研究所生産技術部育種研究グループ 荒木和男)
  • Digital PCRを用いたブリのSNP情報を利用した表現型の解析に関する研究
    (東京海洋大学海洋科学部、坂本 崇)

期待される成果、効果

本研究で確立されるDigital PCRによる高速大量1塩基多型解析系を利用して、天然魚の遺伝的多様性を基に、望む有用経済形質を持つ個体を選抜する世界初のオーダーメード育種の基盤が構築される。本研究で確立される技術によって天然魚からの効率的選抜が可能になれば、目的とする有用経済形質に持つ系統を作出出来、その種苗を養殖の現場に供給することによって、消費者ニーズに応えたオーダーメード育種が可能になり、水産業に多大な貢献をすることになる。

魚類天然資源から効率的に優良経済形質を選抜育種する技術の開発