生物系特定産業技術研究支援センター 研究資金業務

イノベーション創出基礎的研究推進事業(終了)

2009年度 採択された研究課題

作物生産向上のためのストリゴラクトンの生合成と作用機構の解明

研究代表者氏名及び所属

山口 信次郎
山口 信次郎(独立行政法人理化学研究所植物科学研究センター)

研究実施期間

平成21年度~25年度(5年間)

研究の趣旨・概要

ストリゴラクトンは植物が生産するカロテノイド1)由来の化学物質の一種である。ストリゴラクトンは、1966年に根寄生植物2)の種子発芽刺激物質として最初に発見され、その後、植物の養分吸収を助けるアーバスキュラー菌根菌3)との共生シグナルとして働くことが示された。昨年、私たちのグループは、ストリゴラクトンが植物の枝分かれを制御する新規植物ホルモンであることを明らかにした。これらのストリゴラクトンの生理作用は、いずれも農業における生産性と密接に関わっている。本研究では、ストリゴラクトンが植物体内でどのように合成されるのか、また植物自身あるいは他者に対してどのように作用するのかを明らかにすることにより、ストリゴラクトン関連遺伝子やケミカルを利用した植物機能の改善や生産性向上のための基盤的知見を得ることを目的とする。

研究項目及び実施体制(()は研究分担者)

  • ストリゴラクトン生合成と作用機構の生化学的解析
    (独立行政法人理化学研究所植物科学研究センター 山口信次郎)
  • ストリゴラクトン生合成と作用機構の遺伝学的解析
    (国立大学法人東京大学大学院農学生命科学研究科 経塚淳子)
  • 根寄生植物の宿主認識におけるストリゴラクトンの機能解析
    (国立大学法人宇都宮大学雑草科学研究センター 米山弘一)
  • アーバスキュラー菌根菌におけるストリゴラクトン受容機構の解明
    (公立大学法人大阪府立大学大学院生命環境科学研究科 秋山康紀)

期待される成果、効果

本研究の成果は、植物の生産性に大きく影響する「枝分かれ」を制御する技術、菌根菌共生により養分吸収能力を強化する技術、アフリカなどで農業に壊滅的な被害を与えている根寄生植物の防除法の開発に貢献する。

作物生産向上のためのストリゴラクトンの生合成と作用機構の解明