研究代表者氏名及び所属
小早川 高
(公益財団法人大阪バイオサイエンス研究所神経機能学部門)
研究実施期間
平成24年度~26年度(3年間)
研究の趣旨・概要
狩猟者や肉食動物の減少、人間の生活環境の拡大などの複合的な要因によって耕作地や植林地への獣害が拡大している。これまでにも様々な獣害対策が試みられているが、被害を減少させるには至っていない。
私たちは自ら発見した先天的な恐怖情動を誘発する神経回路の活性に着目して、マウスに対して既知の肉食動物の糞尿やその成分に比較して遙かに高い恐怖情動の誘発活性を持つ匂い分子「恐怖臭」の開発に成功した。本研究では恐怖臭を用いて、各種有害野生動物に対して先天的な恐怖情動を誘発する革新的な忌避技術の研究を行う。マウスにおいて恐怖臭は竦みや逃避などの行動に加え、心拍数や体温の低下などの特異的な生理応答も誘発する。これらの行動や生理指標を有害野生動物において計測する技術の開発を行う。様々な種類の有害野生動物やそのモデル動物に対して恐怖臭を嗅がせた際の恐怖情動の誘発活性を行動や生理指標の変動などを基準にして定量解析する。