ブータンで考えた農業機械の安全
R8年9月 川瀬 芳順
令和7年12月に、Asian and Pacific Network for Testing of Agricultural Machinery(アジア地域農業機械試験ネットワーク)の年次会合への出席のためブータンを訪問し、現地の農業機械化訓練センター(Agricultural Machinery Training Centre:AMTC)の検査施設等を見学しました。
ブータンとは、JICAからの依頼により現在の農研機構 農業機械研究部門安全検査部
が2014~2018年にブータン向けの農業機械検査コード作成に協力したことから、以前から交流があります。検査コード作成にあたっては、機材不足や、標高が2700mと高く、空気が薄いことから、エンジン試験では出力が低めに出るため補正が必要になるなど、苦労もありましたが、一通りの検査コードを作成しJICAプロジェクトは終了しました。このプロジェクトで作成した検査コードは現在もブータンで使用されており、日本の農業機械検査技術や人材協力が、ブータンの農業機械化や安全性向上の土台づくりに少なからず関わってきたことを見学の際に改めて感じました。
ブータンで販売される農業機械は全て輸入品です。そして、AMTCの検査を受けるかどうかの判断は輸入業者に任されています。そのため、ブータンで見た農業機械の中には、安全カバーや防護装置が備えられていないものもあり、日本で安全鑑定制度(農業機械安全性検査
の前身)が導入される以前を思わせる状況が見られ、検査制度や安全基準の大切さを改めて考える機会となりました。
ブータンでは唐辛子を野菜として食べる文化があり、辛いものが好きな私にとっては、食事を楽しむことができました。一方で、体重が100kg近い私は空気が薄いため坂道を100mほど登るだけで心拍数が毎分120を超え、途中で休憩せざるを得ませんでした。農業機械の安全について考えるとともに、自分自身の体の“安全”にも目を向ける機会になりました。



