生物系特定産業技術研究支援センター

イノベーション創出強化研究推進事業

カドミウム低吸収性イネ品種シリーズの開発

年度2019ステージ開発研究分野農業 (水稲)適応地域全国

キーワードイネ、品種育成、カドミウム、低吸収性、マーカー選抜

課題番号 26089C
研究グループ 農研機構 次世代作物開発研究センター・東北農業研究センター・中央農業研究センター・九州沖縄農業研究センター・農業環境変動研究センター, 宮城県古川農業試験場, 富山県農林水産総合技術センター, 千葉県農林総合研究センター, 山口県農林総合技術センター, 宮城県農林水産部農業振興課, 秋田県農林水産部水田総合利用課, 富山県農林水産部農業技術課広域普及指導センター, 千葉県農林水産部担い手支援課, 山口県美祢農林水産事務所, 全国農業協同組合連合会
研究総括者 農研機構 次世代作物開発研究センター 石井 卓朗
研究タイプ 育種対応型 Aタイプ
研究期間 平成26年~30年 (5年間)
PDF版 カドミウム低吸収性イネ品種シリーズの開発 (244.6 KB)

1 研究の目的・終了時の達成目標

現在育成中または育成された業務・加工用品種及び耐暑性等良食味品種に、カドミウム (Cd) 低吸収性品種「コシヒカリ環1号」由来のCd低吸収性を導入し、寒冷地、温暖地、暖地での栽培に適したCd低吸収性の業務・加工用品種及び耐暑性等良食味品種を育成することを目標とする。

2 研究の主要な成果

  • 業務・加工用のCd低吸収性品種・系統として、「関東IL19号」(「あきだわら」のCd低吸収性系統) 、「西海IL9号」(「たちはるか」のCd低吸収性系統) など、5品種・系統を開発した。
  • 耐暑性等良食味のCd低吸収性品種・系統として、「西海IL8号」(「にこまる」のCd低吸収性系統) など、8品種・系統を開発した。
  • Cd低吸収性品種の選抜の効率化を図るため、選抜マニュアルを作成した。

公表した主な特許・品種・論文

  • 品種登録出願第33835号 水稲品種「西海IL8号」の品種登録出願 (H31年4月) (出願者名 : 農研機構 九州沖縄農業研究センター)
  • 品種登録出願第33836号 水稲品種「西海IL9号」の品種登録出願 (H31年4月) (出願者名 : 農研機構 九州沖縄農業研究センター)
  • 品種登録出願第33937号 水稲品種「関東IL19号」の品種登録出願 (R元年5月) (出願者名 : 農研機構 次世代作物開発研究センター)
  • 品種登録出願第33938号 水稲品種「関東IL20号」の品種登録出願 (R元年5月) (出願者名 : 農研機構 次世代作物開発研究センター)

3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開

  • 育成したCd低吸収性品種・系統の情報は、農産物のCd低減対策を推進する農水省担当部署と情報共有するとともに、県の行政・普及機関と連絡を密にして現地試験等を行い、普及を進める。
  • 今後のわが国の水稲新品種がCd低吸収性を具備するように、育成したCd低吸収性品種を交配母本として積極的に活用する。

【今後の開発・普及目標】

  • 2年後 (2020年度) には、「関東IL19号 (あきだわら) 」、「関東IL20号 (ほしじるし) 」、「西海IL9号 (たちはるか)」及び「西海IL8号 (にこまる)」の4品種について、実用化を進める。
  • 5年後 (2023年度) には、開発されたCd低吸収性系統について、現地栽培試験の評価等をふまえて、品種登録出願を行う。

4 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献

  • 客土や湛水管理といった従来のカドミウム吸収抑制対策が不要になるため、米のCd濃度が高く出る可能性のある地域において安定的な稲作生産が可能となる。
  • 日本各地域での栽培に適したCd低吸収性イネ品種シリーズを開発することにより、より安全で安心される米を広く国民に供給することが可能となる。

カドミウム低吸収性イネ品種シリーズの開発

問い合わせ先 : 農研機構 次世代作物開発研究センター TEL 029-838-8536