生物系特定産業技術研究支援センター

イノベーション創出強化研究推進事業

実需者ニーズに対応した病害虫抵抗性で安定生産可能なバレイショ品種の育成

年度2019ステージ開発研究分野農業 (畑作物)適応地域北海道,九州

キーワードジャガイモ、品種育成、加工適性、病虫害抵抗性、多収

課題番号 26090C
研究グループ 農研機構 北海道農業研究センター, 道総研北見農業試験場・中央農業試験場, 長崎県農林技術開発センター, 鹿児島県農業開発総合センター
研究総括者 農研機構 北海道農業研究センター 田宮 誠司
研究タイプ 育種対応型 Aタイプ
研究期間 平成26年~30年 (5年間)
PDF版 実需者ニーズに対応した病害虫抵抗性で安定生産可能なバレイショ品種の育成 (386.2 KB)

1 研究の目的・終了時の達成目標

国産バレイショは近年の気象変動や病虫害の被害による収穫減により、国内の需要量を確保できない場合がある。そこで、実需者ニーズに対応した加工適性を持ち、病害虫抵抗性で安定生産可能なバレイショ品種を育成することを目的とする。このため、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を含む複数の病虫害抵抗性を持つ、北海道向けのでん粉原料用品種、北海道向および暖地2期作向けで青果・業務加工用の品種を育成する。

2 研究の主要な成果

  • 北海道向けのでん粉収量が多収で、Yウイルス抵抗性のでん粉原料用品種「パールスターチ」を育成した。
  • 暖地2期作向けのサラダ加工適性があり、多収でYウイルス抵抗性の青果・業務加工用品種「アイマサリ」を育成した。
  • 北海道向けの多収で、そうか病、塊茎腐敗抵抗性のポテトチップ原料用品種「ハロームーン」を育成した。
  • 暖地2期作向けのフライドポテト適性があり、Yウイルス、青枯病に抵抗性の青果・業務加工用品種「ながさき黄金」を育成した。

公表した主な特許・品種・論文

  • 品種登録出願30106 バレイショ品種パールスターチを品種登録出願 (H27年4月) (出願者 : 農研機構)
  • 品種登録出願32257 バレイショ品種アイマサリを品種登録出願 (H29年6月) (出願者 : 長崎県)
  • 品種登録出願33032 バレイショ品種ハロームーンを品種登録出願(H30年4月) (出願者 : 道総研)

3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開

  • 「パールスターチ」は2018年から栽培が始まっており、2025年までに1,000ヘクタールまで普及が見込まれる。
  • 「アイマサリ」、「ハロームーン」については今後栽培が始まり、1,000ヘクタール以上の普及が見込まれる。

【今後の開発・普及目標】

  • 2年後 (2020年度) は、育成した品種の栽培が開始される。
  • 5年後 (2023年度) は、育成した品種が1,000ヘクタール以上の普及を予定。
  • 最終的には、育成した品種全体で5,000ヘクタール以上の普及を目指す。

4 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献

  • 育成した品種が普及することにより、10%程度の増収が見込まれ11億円 の経済効果が期待できる。
  • 周年安定供給体制を確立し、高品質なバレイショを供給することで、安全・安心を求める消費者のニーズに合わせた国産の加工食品が安定的に供給され、食生活が豊かになる。

実需者ニーズに対応した病害虫抵抗性で安定生産可能なバレイショ品種の育成

問い合わせ先 : 農研機構 北海道農業研究センター TEL 0155-62-9272