年度2019ステージ開発研究分野農業 (畑作物)適応地域北海道
キーワードダイズ、品種育成、豆腐適性、耐冷性、病虫害抵抗性
課題番号 | 26097C |
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研究グループ | 地方独立行政法人北海道立総合研究機構十勝農業試験場・中央農業試験場, 公益財団法人とかち財団, 北海道農政部生産振興局技術普及課 |
研究総括者 | 十勝農業試験場 三好 智明 |
研究タイプ | 育種対応型 Aタイプ |
研究期間 | 平成26年~30年 (5年間) |
PDF版 | 北海道産大豆の高品質・安定供給を目指した豆腐・納豆用品種の開発 (401.3 KB) |
1 研究の目的・終了時の達成目標
北海道は国産大豆の約4割を生産するが、線虫被害や冷・湿害など生産上の問題が多く、地域や年次間の収量変動が大きい。実需者は道産大豆に対して、価格の安定を求めるとともに、豆腐加工での凝固性がやや劣ると指摘している。本研究では、加工適性に優れ、病虫害や各種障害に強くて安定生産が可能な、1大規模畑作地帯向け豆腐用品種、2道央転換畑向け豆腐用品種、3大規模畑作地帯向け納豆用品種を開発する。
2 研究の主要な成果
- 道東などの畑作地帯で普及が見込まれる豆腐用新品種「とよまどか」を開発した。豆腐加工適性は、凝固性に優れ、ショ糖含有率が高く食味も優れる。冷害に強く、倒伏しにくいため栽培しやすい。
- 転換畑向け豆腐用品種候補として、難裂莢性で湿害に強く、豆腐の凝固性がかなり高い「十育267号」等の有望系統を育成した。
- 納豆用小粒大豆として、ダイズシストセンチュウとダイズわい化病の両方に強い有望系統「十育264号」等を育成した。
公表した主な特許・品種・論文
- 品種登録出願 第33213号 大豆品種「とよまどか」を品種登録出願 (H30年6月) (北海道立総合研究機構)
3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開
- 豆腐用新品種「とよまどか」 (品種登録出願公表中) は、2018年1月に北海道優良品種に認定され、採種が始まっている。2019年以降に一般圃で栽培が始まり、2022年に5,000haの普及を見込んでいる。
- 「とよまどか」の普及に向けて、道内各地の講習会での紹介、パンフレットの配布、展示栽培等で生産者やJA関係者に周知するとともに、加工業者へ試作用原料を提供し、本格栽培に向けた準備が行われている。
- 本研究で品種化に至らなかった有望系統は、品種化を継続して検討、あるいは交配母本として北海道大豆品種改良に活用する。
【今後の開発・普及目標】
- 2年後 (2020年度) は、「とよまどか」の認知度の向上と一般圃での順調な普及。
- 5年後 (2023年度) は、「とよまどか」の栽培面積5,000ha。転換畑向けの有望系統の北海道優良品種認定。
- 最終的には、各々の地域、用途に適する各種障害に強い安定多収大豆品種の開発と普及を目指す。
4 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献
- 普及が想定される地域において多収となる「とよまどか」を、北海道内5,000haに普及することで、収穫量が増加するとともに、豆腐適性に優れるため価格も一定水準を維持できるとした場合、「とよまどか」の年間販売額は約20億円が見込まれる。
- 「とよまどか」は生産面、豆腐加工でメリットがあり、良質な道産大豆の安定供給に貢献し、実需者も安心して継続使用できることから、地域農業、食品加工産業の経営安定に貢献でき、さらに自給率向上に対する貢献も期待できる。
問い合わせ先 : 北海道立総合研究機構十勝農業試験場大豆グループ TEL 0155-62-9807