年度2019ステージ開発研究分野農業 (茶)適応地域北海道 (茶生産地)
キーワードチャ、品種育成、抹茶・粉末茶、機能性品種、実需者ニーズ
課題番号 | 26099C |
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研究グループ | 農研機構 果樹茶業研究部門, 12府県の公設試 (宮崎県, 埼玉県, 静岡県, 滋賀県, 長崎県, 大分県, 鹿児島県, 福岡県, 京都府, 佐賀県, 三重県, 奈良県), 日本製紙株式会社 |
研究総括者 | 農研機構 果樹茶業研究部門 吉田 克志 |
研究タイプ | 育種対応型 Aタイプ |
研究期間 | 平成26年~30年 (5年間) |
PDF版 | 実需者の求める、色・香味・機能性成分に優れた茶品種とその栽培・加工技術の開発 (495.3 KB) |
1 研究の目的・終了時の達成目標
リーフのお茶の消費が低迷する一方、抹茶需要の増加や機能性飲料開発など、お茶に対するニーズは多様化している。そこで、実需者が求める、抹茶・粉末茶用品種、香りが特徴の品種および機能性品種を開発すると共に、その栽培・加工技術および実需に対応した審査法を開発する。研究目標に合致した有望系統は品種登録出願を行うとともに、新品種の栽培・加工技術およびその特徴を具体的に表現できる日本茶審査法を開発し、これらの研究成果をマニュアル化して、新品種と新技術の普及を進める。
2 研究の主要な成果
- 抹茶・粉末茶適性が高い品種「せいめい」を育成し、国内外で品種登録出願を行った。本品種のセル苗増殖法、栽培および抹茶・粉末茶原料の最適加工法を確立し、マニュアルに取りまとめて公表した。
- 抗アレルギー作用を示す機能性ポリフェノール、G-ストリクチニンとテオガリン含量が高い品種「MK5601」を育成すると同時に、機能性成分含量の茶期別変化と栽培適地を明らかにした。
- 花の様な特徴的な香りの品種「きよか」とクワシロカイガラムシ抵抗性で粉末茶適性の高い宮崎37号 (品種登録出願中) を育成し、栽培・加工技術の開発を行った。
- 新品種の香味の特徴を具体的に表現できる日本茶審査法を開発するとともに、品種の香味の特徴を第三者にわかりやすく提示可能な「日本茶フレーバーホイール (素案)」を策定した。
公表した主な特許・品種・論文
- 品種登録出願 第31289号 茶品種「せいめい」を品種登録出願 (H28年6月) (出願者名 : 農研機構)
- 品種登録出願 第33550号 茶品種「MK5601」を品種登録出願 (H30年12月) (出願者名 : 農研機構)
- 品種登録出願 第33551号 茶品種「きよか」を品種登録出願 (H30年12月) (出願者名 : 農研機構)
3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開
- 「せいめい」、「きよか」および宮崎37号は、広く苗生産者に許諾を行い、苗木供給体制を整えつつ、栽培・加工技術の現地実証試験を進め、普及に向けた技術情報の発信を進める。
- 「MK5601」は機能性ポリフェノールの機能性研究を深化させ、企業との共同研究により機能性を活かした商品化を目指す。機能性製品開発に特化して、さしあたり一般生産者には展開しない。
【今後の開発・普及目標】
- 2年後 (2020年度) は、「MK5601」の機能性のエビデンスの蓄積および企業との共同研究が進展する。
- 5年後 (2023年度) は、4品種の普及 (合計70ha) と製品の上市により、日本茶の多様化を進める。
- 最終的には、新品種の社会実装 (10年後に合計700ha) により、国内外の日本茶需要拡大に貢献する。
4 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献
- 新品種とその栽培・加工技術の普及と社会実装により、苗生産、新商品開発による日本茶の高品質化と多様化による需要増、茶工場等の設備投資により、10年後までに77.5億円の経済効果が見込まれる。
- 高品質な抹茶・粉末茶の安定供給、新しい香味の日本茶開発、機能性品種の製品開発により、多様な日本茶を国民に提供するとともに、食のヘルスケアによる、健康長寿社会の実現に貢献できる。
問い合わせ先 : 農研機構 果樹茶業研究部門 TEL 0993-76-2126