生物系特定産業技術研究支援センター

イノベーション創出強化研究推進事業

機能性を有し機械収穫に適する高品質新品種の育成と「信州ひすいそば」ブランドの強化

年度2019ステージ開発研究分野農業 (畑作物)適応地域全国

キーワードソバ、ルチン、耐倒伏性、高色調、DNAマーカー

課題番号 26101C
研究グループ 信州大学大学院農学研究科, 長野県, 野菜花き試験場, 農研機構 北海道農業研究センター, 長野県工業技術総合センター, 日穀製粉 (株), 信州ひすいそば振興協議会
研究総括者 信州大学大学院農学研究科 松島 憲一
研究タイプ 育種対応型
研究期間 平成26年~30年 (5年間)
PDF版 機能性を有し機械収穫に適する高品質新品種の育成と「信州ひすいそば」ブランドの強化 (410.8 KB)

1 研究の目的・終了時の達成目標

現在、「信州ひすいそば」として普及している子実が緑色で美しい「長野S8号」の栽培諸特性を改良した新品種と高ルチン含量系統の育成を核として、その選抜法、評価法および保存方法、ならびにそれら品種系統の普及を目的とする。終了時達成目標は、1高ルチン含量で栽培特性を高めた系統を育成、2そばの子実の色調に優れ、機械収穫適性の高い系統の品種化、3高色調系統の品質を高める適正な栽培マニュアルの作成、4高色調系統の適正な貯蔵条件や品質評価法の解明、5高ルチン等を対象としたマーカーアシスト選抜法の開発、6開発したDNAマーカーを利用し、さらなる優れた系統の育成期間を短縮、効率化技術の確立である。

2 研究の主要な成果

  • 5系統の高ルチン系統を育成した。そのうち、高ルチンで実用形質にも優れた「HRD」については品種登録を2019年内に実施する方向で準備中である。
  • 丸抜き子実の緑色が濃く、有限伸育性の導入により草丈が低く、倒れにくいなどの機械収穫にも適した品種「桔梗11号」を育成し、平成30年度内に品種登録出願の手続きを進めた。
  • 「桔梗11号」の栽培諸特性とその最適栽培条件を明らかにし、また、適切な保存方法についても明らかにした。さらに、その結果を用いて「桔梗11号」の栽培マニュアルを作成した。
  • ルチン含量選抜DNAマーカーを開発し、マーカー選抜で高ルチン化 (既存品種・系統のルチン含量を約1.3~1.5倍) に成功した。

公表した主な特許・品種・論文

  • ソバ桔梗11号を品種登録出願 (H31年3月) 品種登録出願第33832号 (長野県野菜花き試験場)

3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開

  • 「桔梗11号」については、信州ひすいそば振興協議会の了承を得たことや (平成30年12月)、県の職務育成品種として認定された (平成31年2月14日) ことから、平成30年度内に品種登録出願した。
  • 高ルチン系統のうち「HRD」については令和元年度内の品種登録を予定しており、健康機能性が期待できる品種としての実用栽培の他、さらなる実用形質の改良を期待して中間母本としての利用も進める。

【今後の開発・普及目標】

  • 2年後 (2020年度) は、品種登録出願した2品種の普及に努める。
  • 5年後 (2023年度) には、信州ひすいそばの目標栽培面積170haを「長野S8号」から「桔梗11号」へ置き換える見込み。
  • 最終的には、県産のソバ生産の安定化と生産者の増収につながる。

4 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献

  • 高色調新品種の導入により、価格の競合に左右されず、多収で倒伏しにくいため、生産者が安心して栽培に取り組め、国産そばの安定的な供給に貢献することができるとともにそばに関わる食品産業や観光産業に貢献する。
  • 高ルチン含量品種およびそれを活用した食品等の普及によって、今後、国民の高齢化にともなって危惧される疾病等の予防や対策への貢献が期待できる。

機能性を有し機械収穫に適する高品質新品種の育成と「信州ひすいそば」ブランドの強化

問い合わせ先 : 信州大学大学院農学研究科 松島 憲一 TEL 0265-77-1639