生物系特定産業技術研究支援センター

イノベーション創出強化研究推進事業

新規需要開拓のためのチューリップ新品種育成と切り花等高品質化技術の開発

年度2019ステージ開発研究分野農業 (花き)適応地域全国

キーワードチューリップ、品種育成、切り花、鉢花、日持ち、香気成分

課題番号 26103C
研究グループ 富山県農林水産総合技術センター園芸研究所, 新潟県農業総合研究所園芸研究センター, 埼玉県農業技術研究センター, 農研機構 野菜花き研究部門
研究総括者 富山県農林水産総合技術センター園芸研究所 池川 誠司
研究タイプ 育種対応型 Bタイプ
研究期間 平成26年~30年 (5年間)
PDF版 新規需要開拓のためのチューリップ新品種育成と切り花等高品質化技術の開発 (720.6 KB)

1 研究の目的・終了時の達成目標

日本人の感性に合った新品種の育成と栽培法を開発するとともに、香りを活かし輸入球根に対抗する新たな需要創出を図ることを目的とする。このため、新品種育成では、耐病性や球根生産性に留意し、希少な花型や促成切り花・鉢花生産にも対応した品種を育成するとともに、切り花・鉢花高品質化技術では、促成栽培における日持ち性向上や芳香性を最大限発揮させるための基礎研究及び技術を開発し、商品全般に関して需要開拓に結びつけることを達成目標とする。

2 研究の主要な成果

  • 鉢花にも適するわい性2品種、希少な花型のフリンジ咲き2品種、切り花に適する一重咲き1品種を育成した。
  • 品質保持剤による切り花の草姿・日持ち向上技術及び花を大きく咲かせ、よりよく香る切り花の栽培・出荷方法を開発した。
  • 鉢花の出荷調節技術及び小さな球根をたくさん植えることで鉢花としての香りを高める栽培方法を確立した。
  • チューリップの香りの保持に有効な花店での管理温度及び日持ちに関連する候補遺伝子を見出した。

公表した主な特許・品種・論文

  • 品種登録出願31459 チューリップ品種「恋のはじまり」を品種登録出願 (H28年9月) (出願者名 : 富山県)
  • 品種登録出願31460 チューリップ品種「白天使」を品種登録出願 (H28年9月) (出願者名 : 富山県)
  • 品種登録出願33047 チューリップ品種「新紅」を品種登録出願 (H30年4月) (出願者名 : 新潟県)

3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開

  • 品種登録出願したわい性品種「白天使」、「恋のはじまり」、フリンジ咲き「炎のダンス」、八重フリンジ咲き「乙女のドレス」については現在生産者が原種球根を増殖中であり、1~2年後に球根販売の開始を予定。
  • 切り花高品質化技術や、香気成分保持に有効な花店での管理温度が明らかになったことから、栽培マニュアルへの追記や生産現場への導入、花店への提案などを行っていく。

【今後の開発・普及目標】

  • 2年後 (2020年度) は、「白天使」、「恋のはじまり」に続き、「炎のダンス」、「乙女のドレス」の品種登録 (見込み) 後に、球根販売を開始する (8年後の目標普及面積1.2ha)。
  • 5年後 (2023年度) を目標に、切り花用品種「新紅」の球根販売も開始する (8年後の目標普及面積0.3ha)。
  • 最終的には、上記品種の販売に加え、チューリップで香りという新たな楽しみ方を提案するとともに、日持ちの改善に取り組み、品質の高い切り花、鉢花の提供を目指す。

4 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献

  • 本研究により育成した希少性が高く日本人の感性にあったチューリップ品種の球根生産によって5年後に約4千万円、将来的には2億円の経済効果が、また、高付加価値栽培技術の開発によって、日持ちの良い切り花や鉢花を特需期に供給することで、それぞれ約4億円の経済効果が期待できる。
  • チューリップで香りという新たな楽しみ方を提案するとともに、日持ちの改善に取り組み、品質の高い切り花、鉢花を提供することで、日本人の幼少期からの花育の推進により国民の自然を愛する豊かな心の醸成に大いに貢献できると期待される。

新規需要開拓のためのチューリップ新品種育成と切り花等高品質化技術の開発

問い合わせ先 : 富山県農林水産総合技術センター園芸研究所 TEL 0763-32-2259