生物系特定産業技術研究支援センター

イノベーション創出強化研究推進事業

加工適性の高い高品質生食用パインアップル品種の開発

年度2019ステージ開発研究分野農業 (果樹)適応地域亜熱帯

キーワードパインアップル、品種育成、生食用、収量性、カットフルーツ適性

課題番号 26104C
研究グループ 沖縄県農業研究センター, 農研機構 果樹茶業研究部門, 琉球大学, 沖縄県北部農林水産振興センター
研究総括者 沖縄県農業研究センター名護支所 松村 まさと
研究タイプ 育種対応型 Bタイプ
研究期間 平成26年~30年 (5年間)
PDF版 加工適性の高い高品質生食用パインアップル品種の開発 (496.2 KB)

1 研究の目的・終了時の達成目標

近年のパインアップル産業において、高単価である生食用品種の重要性は高く、良食味であることに加えて収量性や加工適性にも優れるといった付加価値の高い品種が求められている。そのため、大果で歩留まりが高く、低酸で食味に優れ、カットフルーツ等の加工品にも適した品種の育成を目的とする。選抜した有望系統については、収穫期拡大技術の開発や病害抵抗性、香気等の有用形質についても分析を行い、付加価値の高い生食用品種の開発および安定生産技術の開発を行うことを達成目標とする。

2 研究の主要な成果

  • 大果で良食味、果肉歩留まりが高くカットフルーツなどの加工適性を有する有望育成系統 (1系統) を品種登録候補として選抜した (以下、「選抜系統」とする)。
  • 選抜系統について、主要産地における露地および施設栽培を含めた各作型における果実品質を明らかにし、高品質果実収穫期間を拡大する作型を開発した。
  • 気温と日射量から酸度および糖度を推定する果実品質評価モデルを開発し、高品質果実を収穫可能な時期の推定値を示す収穫適期マップ (栽培管理マップ) を開発した。
  • 香気成分分析により選抜系統は既存品種と異なる香気特性を有することを明らかにし (特にEthyl 3-(methylthio)propanoate、γ-Octalactoneやδ- Octalactoneの寄与が大)、加えて貯蔵による香気成分の変化についても明らかにした。

3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開

  • 選抜系統の品種登録申請を早急に進め、登録後は種苗の増殖を行い迅速な普及に努める。
  • 開発した収穫期拡大および安定生産技術の普及を目指す。

【今後の開発・普及目標】

  • 2年後 (2020年度) は、品種登録申請を進め、登録後は種苗の原資となる母茎を年間500本程度、拠点産地へ配布し、種苗の増殖を図る。
  • 5年後 (2023年度) は、拠点産地で増殖した種苗の植付が開始され、80a (4000本/10a植付、合計3.2万本) 以上の作付面積を目標とし、収穫期拡大および安定生産技術等は栽培講習会等を実施して普及を図る。
  • 最終的には、生食用品種の約30%と代替し、100ha以上の普及を目指す。

4 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献

  • 既存の「ソフトタッチ」を含む生食用品種の約30%に代替品種として普及した場合には、単収向上に伴う約2億6千万円の増収効果が期待できる。
  • 高品質で収量性に優れる生食用品種の普及および安定供給により、国内産地の競争力強化を図るとともに、食の安心、安全といった観点からも国民の健康で豊かな食生活の発展に資するものと期待できる。

加工適性の高い高品質生食用パインアップル品種の開発

問い合わせ先 : 沖縄県農業研究センター名護支所 TEL 0980-52-0052