年度2019ステージ開発研究分野農業 (水稲)適応地域東北
キーワード水稲、品種育成、多収、耐冷性、いもち病抵抗性
| 課題番号 | 26106C |
|---|---|
| 研究グループ | (地独)青森県産技セ農林総合研究所, 岩手県農研センター, 秋田県農試, 山形県農総研セ水田農業試験場, 福島県農業総合セ浜, 宮城県産業技セ, (国研) 農研機構 東北農研, 木徳神糧 (株), JA全農みやぎ, 舞台アグリイノベーション (株), JA全農北日本くみあい飼料 (株), 宮城県酒造協同組合, JA全農あおもり, 青森米穀集荷協同組合, JA栗っこ, JA加美よつば, JAみどりの, (株) 舞台ファーム |
| 研究総括者 | 宮城県古川農業試験場 遠藤 貴司 |
| 研究タイプ | 育種対応型 Aタイプ |
| 研究期間 | 平成26年～30年 (5年間) |
| PDF版 | 耐冷性やいもち病抵抗性を強化した東北オリジナル業務・加工用多収品種の開発 (475.2 KB) |
1 研究の目的・終了時の達成目標
東北全域で安定的に栽培でき、稲作農家の大規模経営化に役立つ寒冷地向け多収水稲品種を開発することを研究の目的とし、1寒冷地北部向け・中南部向け業務用米品種を各1系統ずつ品種登録する、2寒冷地北部向け・中南部向け飼料用米品種を各1系統ずつ品種登録する、3寒冷地北部向け酒造用米品種の有望系統を1系統以上育成する、寒冷地中南部向け酒造用品種を少なくても1系統を品種登録する、4有望系統の栽培マニュアルを作成することを終了時達成目標とした。
2 研究の主要な成果
- 寒冷地北部向けで耐冷性やいもち病抵抗性が優れ、低アミロースで良食味の「あさゆき」、寒冷地中南部向けの耐冷性が優れ、アミロースが低く良食味の「だて正夢」を育成した。
- 寒冷地北部向けでいもち病圃場抵抗性遺伝子"Pi35"を保有する「えみゆたか」、寒冷地中南部向けの晩生で耐冷性が優れる多収の「東北211号」を育成した。
- 寒冷地北部向けで多収でいもち病抵抗性が強い極早生の「ふ系酒256号」、寒冷地中南部向けで耐冷性が強く、大粒で心白発現率の高い「東北酒218号」(H31品種登録出願予定) を育成した。
- 「あさゆき」、「えみゆたか」、「だて正夢」及び「東北211号」の4品種の栽培マニュアルを作成した。
公表した主な特許・品種・論文
- 品種登録出願 (30289) 水稲品種「あさゆき」を品種登録出願 (H27年6月)、(青森県産業技術センター)
- 品種登録出願 (31268) 水稲品種「えみゆたか」を品種登録出願 (H28年6月)、(青森県産業技術センター)
- 品種登録出願 (31766) 水稲品種「だて正夢」を品種登録出願 (H29年1月)、(宮城県古川農業試験場)
- 品種登録出願 (29975) 水稲品種「東北211号」を品種登録出願 (H27年3月)、(宮城県古川農業試験場)
3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開
- 「あさゆき」は、平成27年に青森県の認定品種に、「えみゆたか」は平成28年に青森県の飼料作物奨励品種に指定された。栽培マニュアルを活用しながら普及を進める。
- 「東北211号」は、平成26年に宮城県の飼料用多収品種 (知事特認品種) として認定され、「だて正夢」は、平成28年に宮城県の奨励品種に認定された。栽培マニュアルを活用しながら普及を進める。
【今後の開発・普及目標】
- 2年後 (2020年度) は、「あさゆき」150ha、「だて正夢」1,200ha、「えみゆたか」200ha、「東北211号」200ha、「東北酒218号」7ha
- 5年後 (2023年度) は、「あさゆき」200ha、「だて正夢」3,000ha、「えみゆたか」700ha、「東北211号」250ha、 「東北酒218号」50ha
- 最終的には、「あさゆき」200ha、「だて正夢」6,000ha、「えみゆたか」700ha、「東北211号」250ha、「東北酒218号」100haまで普及することを目指す。
4 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献
- 玄米総生産額で60億円 (業務用米:55億円(6,200ha)、飼料用米:4億円(1,100ha)、酒造用米1億円(100ha)) となり、おにぎりやお弁当、清酒等の加工品でさらなる経済効果が期待される。
- 「あさゆき」、「だて正夢」は、低アミロース性で冷めても美味しいことから、おにぎり、弁当といった多様な食生活を国民に享受でき、「えみゆたか」と「東北211号」は、国産飼料の自給率向上によって、食糧の安定確保に貢献する。「東北酒218号」は、味の濃い柔らかな酒質であることから、需要に即した商品開発により地域産業の活性化につながるとともに、輸出により海外への和食文化の普及にも貢献できる。
問い合わせ先 : 宮城県古川農業試験場 TEL 0229-26-5105