年度2019ステージ開発研究分野農業 (畑作物)適応地域関東
キーワード落花生、品種育成、多収性、機械収穫、品質保持
課題番号 | 26107C |
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研究グループ | 千葉県農林総合研究センター, (公財) かずさDNA研究所, 順天堂大学, 八街落花生商工協同組合 |
研究総括者 | 千葉県農林総合研究センター 桑田 主税 |
研究タイプ | 育種対応型 Bタイプ |
研究期間 | 平成26年~30年 (5年間) |
PDF版 | 高オレイン酸落花生品種の育成 (640.5 KB) |
1 研究の目的・終了時の達成目標
オレイン酸は健康機能性があるほか、酸化しにくいため子実の品質保持効果が高い。子実中のオレイン酸含有率が通常品種の約2倍 (30%程度) で、国内の煎り莢・むき実加工に向く、機械収穫適性が優れ、大粒で収量性の高い品種を育成する。有望系統については現地栽培および加工実証試験を行い、実用上の課題を明らかにして、生産者・実需者への普及を促進することを終了時達成目標とした。
2 研究の主要な成果
- 従来品種より収量が多く、オレイン酸含量が約2倍の「千葉P121号」を育成した。「千葉P121号」は半立性の草型で機械収穫適性が優れる。
- 「千葉P121号」の煎り豆における食味は従来品種と同等であり、品質保持効果が高いことを明らかにした。
- 育種選抜の過程では、DNAマーカーによる遺伝子型解析を行い、従来品種に近い高オレイン酸系統を効率的に選抜し、育種年限を短縮した。
- 新品種「千葉P121号」を実証栽培し、実需者の製造ラインで煎り莢・煎り豆の加工実証を行い、従来品種と同様の方法で加工できることを確認した。
公表した主な特許・品種・論文
- Shirasawa, K. et al. Target amplicon sequencing for genotyping genome-wide single nucleotide polymorphisms identified by whole genome resequencing in peanut. The Plant Genome, 9(3)1-8 (2016).
3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開
- 新品種「千葉P121号」は品種登録出願後、新たな高オレイン品種の普及を図る。
- 得られたDNAマーカーを今後の品種育成に活用し、育種の効率化を進めていく。
【今後の開発・普及目標】
- 1年後 (2019年度) は、「千葉P121号」を品種登録出願する。
- 5年後 (2023年度) は、高オレイン酸品種5ha程度の栽培と高オレイン酸商品の試験販売を行う。
- 最終的には、新たな高オレイン酸品種の普及を目指す。
4 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献
- 落花生は脂質が多く、消費低下の一因となっていたが、健康機能性の高い高オレイン酸品種と、それを用いた商品の登場・普及は、落花生のイメージアップにつながり、新規需要と消費の拡大が期待される。
- 従来の品種は加熱加工後に、保存状態によっては油の酸化が起こるが、高オレイン酸品種は油の酸化が起こりにくく、品質保持効果が高くなる。
問い合わせ先 : 千葉県農林総合研究センター落花生研究室 TEL 043-444-0676