生物系特定産業技術研究支援センター

イノベーション創出強化研究推進事業

水稲直播栽培における雑草イネ・漏生イネの防除体系の確立と実用化

年度2019ステージ開発研究分野農業 (水稲)適応地域全国

キーワード水稲、雑草イネ、漏生イネ、雑草防除、直播栽培

課題番号 28020C
研究グループ 農研機構 中央農業研究センター, 公益財団法人日本植物調節剤研究協会研究所, 国立大学法人信州大学, 宮城県古川農業試験場, 茨城県農業総合センター農業研究所, 長野県農業試験場, 農研機構 九州沖縄農業研究センター, 宮城県農林水産部農業振興課, 茨城県農業総合センター専門技術指導員室, 長野県主要農作物難防除雑草対策プロジェクトチーム, 株式会社デリカ
研究総括者 農研機構 中央農業研究センター 内野 彰
研究タイプ 現場ニーズ対応型 Aタイプ
研究期間 平成28年~30年 (3年間)
PDF版 水稲直播栽培における雑草イネ・漏生イネの防除体系の確立と実用化 (407.2 KB)

1 研究の目的・終了時の達成目標

本研究では、直播栽培でも利用可能な雑草イネ・漏生イネの防除技術について、生産者が利用可能な防除体系としてとりまとめることを目的とする。このため、有用除草剤の選抜・活用や非作付け期間の種子死滅技術をもとに直播栽培体系における雑草イネ・漏生イネ防除体系を構築・実証し、発生圃場の広域検出技術も含めた防除マニュアルを作成してインターネットを通じて直接生産者に届けるシステムを構築することを達成目標とする。

2 研究の主要な成果

  • 直播栽培において雑草イネ防除体系を2種類検証し、いずれも試験前年の10%以下に雑草イネを抑制することを明らかにした。
  • 直播栽培において漏生イネ防除体系を2種類検証し、一方の体系では埋土種子比0.04%以下に抑制することを明らかにした。
  • ドローンと自動飛行制御アプリを使い、既存の方法に比較して40倍以上の効率で雑草イネ・漏生イネの発生圃場を検出する技術を開発した。
  • 雑草イネ・漏生イネに関する情報を集めたウェブサイトを作成し、本事業の成果等をもとに「雑草イネ・漏生イネ防除技術マニュアル」を作成し、同サイトに掲載した。

公表した主な特許・品種・論文

3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開

  • 実証した直播栽培における雑草イネ防除体系は防除経費の高さが課題となることから、手取り除草経費および労力軽減の観点で技術導入を図る必要があり、今後は経費低減化が課題となる。
  • 直播栽培の防除体系では、播種した品種と同時に出芽する雑草イネ個体の防除が課題として残ることから、栽培水稲の出芽時における防除技術の開発が課題となる。

【今後の開発・普及目標】

  • 2年後 (2020年度) は、石灰窒素の農薬登録拡大 (水田刈跡への拡大) をうけ、防除成功事例が出始めることが期待される。
  • 5年後 (2023年度) は、本防除体系によって直播栽培および飼料用米品種の作付け面積が順調に伸びた場合、その1%に寄与するとして約1億円の水稲生産コスト削減に貢献することが期待される。
  • 最終的に、雑草イネ・漏生イネの防除・根絶を進め、約2億円の水稲生産コスト削減への貢献を目指す。

4 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献

  • 雑草イネ・漏生イネの防除を進め、直播栽培および多用途米品種の普及にむけた障害が解消される。
  • 低コスト直播栽培や新規需要米生産が全国規模で普及すると、国内で生産された安全・安心で安価な主食米、米加工製品やそれらを給与した畜産品を国民に提供することができ、自給率も向上する。

水稲直播栽培における雑草イネ・漏生イネの防除体系の確立と実用化

問い合わせ先 : 農研機構 中央農業研究センター 広報チーム TEL 029-838-8481