生物系特定産業技術研究支援センター

イノベーション創出強化研究推進事業

粗飼料自給率100%を目指すアルファルファ単播草地の造成・管理法と省力的な収穫・調製技術の開発

年度2019ステージ開発研究分野農業 (牧草)適応地域関東・北陸

キーワードアルファルファ、収量確保、省力作業、高品質サイレージ、乳酸菌

課題番号 28023C
研究グループ 農研機構 畜産研究部門, 千葉県畜産総合研究センター, 山梨県畜産酪農技術センター, 長野県畜産試験場, 新潟県農業総合研究所, 雪印種苗株式会社
研究総括者 農研機構 畜産研究部門 森田 聡一郎
研究タイプ 現場ニーズ対応型
研究期間 平成28年~30年 (3年間)
PDF版 粗飼料自給率100%を目指すアルファルファ単播草地の造成・管理法と省力的な収穫・調製技術の開発 (592.2 KB)

1 研究の目的・終了時の達成目標

アルファルファは高タンパク質で酪農において必須のマメ科牧草であるが、その多くを輸入に依存している。国内、特に都府県は収穫適期が降雨時期にあたり調製が難しいこと、また刈取り回数が多くなり、労力を要することが栽培面積の拡大抑制要因となっている。そこで、省力化につながる栽培・収穫技術および高水分条件において高品質にサイレージ調製できる技術を開発することで、関東甲信越でのアルファルファ生産拡大を実現し、飼料費の低減により酪農経営の生産コスト低減を達成する。

2 研究の主要な成果

  • 各地域 (温暖地、準高標高地、高標高地および積雪地) 毎における品種選定を通じ、収量水準を明らかにすることで、地域に適合した品種を決定した。
  • 播種時の作業工程を減らせる「表層撹拌法」など、省力的なアルファルファ草地の造成法を確立し、また高収量となる播種時期や、土壌pHの矯正および根粒菌接種効果を明らかにするなど栽培技術を開発した。
  • 低コスト生産に重要となる草地の永続性向上を図るために、雑草防除法、適正な刈り取り法や害虫防除法を開発した。
  • アルファルファのサイレージ発酵を容易にする「繊維分解酵素」と「乳酸菌」の機能を明らかにした上で製剤化・市販化し、また刈り取り・予乾など収穫方法を改良することで、高品質サイレージの調製技術を開発した。

3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開

  • アルファルファの高品質サイレージ調製を可能とする「繊維分解酵素」+「乳酸菌」の製剤は市販化に至っており、効果の喧伝により流通普及につとめる。
  • アルファルファの栽培、調製方法など利用方法をわかりやすく記載したマニュアルや動画を作成し、また実証展示圃での収穫作業実演等も通じて生産者が取り組み易い環境をつくることで技術普及につとめる。

【今後の開発・普及目標】

  • 2年後 (2020年度) は、関東甲信越地域内で約200haのアルファルファ栽培面積を達成する。
  • 最終的には、同地域内のアルファルファ利用量半分の自給を達成する。

4 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献

  • 関東甲信越における輸入アルファルファ乾草の50%を国産のアルファルファロールベールサイレージに置き換えることで、地域全体で約11億円の飼料費が削減できる。また関連する機材・資材の販売増により、経済的な波及効果が見込める。
  • 飼料費の低減を通じて安価な乳製品を安定的に国民に供給することで豊かな食生活が実現できる。

粗飼料自給率100%を目指すアルファルファ単播草地の造成・管理法と省力的な収穫・調製技術の開発

問い合わせ先 : 農研機構 畜産研究部門 TEL 0287-37-7802