生物系特定産業技術研究支援センター

イノベーション創出強化研究推進事業

養豚経営基盤強化に資する高度堆肥化システム (スマートコンポスト) の実証

年度2019ステージ開発研究分野畜産 (畜産環境)適応地域全国

キーワード豚、家畜ふん尿、堆肥化、温水、熱利用

課題番号 28025C
研究グループ 農研機構, 神奈川県畜産技術センター, 福島県農業総合センター, 国立大学法人宇都宮大学, 朝日工業株式会社, 株式会社中嶋製作所, 中部エコテック株式会社
研究総括者 農研機構 畜産研究部門 石田 三佳
研究タイプ 現場ニーズ対応型 Bタイプ
研究期間 平成28年~30年 (3年間)
PDF版 養豚経営基盤強化に資する高度堆肥化システム (スマートコンポスト) の実証 (659.2 KB)

1 研究の目的・終了時の達成目標

養豚などで多く使用される密閉縦型堆肥化装置を経営負担から経営メリットへと転換する画期的な堆肥化技術として、堆肥発酵熱を活用した高度堆肥化システム (スマートコンポスト) を開発実証する。堆肥発酵熱は、温水変換および堆肥生産のために熱返送することで、床暖房の灯油代100%節減、熱返送による装置の省エネ化で電力30%節減を目標とする。また生産堆肥および回収アンモニアの有効利用として混合堆肥複合肥料を試験生産し肥効性などを実証する。加えて開発技術の普及可能性についても明らかにする。

2 研究の主要な成果

  • 密閉縦型堆肥化装置からの排気中アンモニアを1/20に低減し、回収アンモニア(N 6%、P2O5 19%)と同時に生産された堆肥を利用した混合堆肥複合肥料3種類を開発した。
  • 排気熱返送用熱交換器を利用することで、堆肥化装置への導入空気を45°C昇温するシステムを実証した。
  • ルーツブロワ、熱返送用熱交換器、通気制御ロジックにより既往のリングブロワ使用時の8.2kWから4.9kWまで消費電力を低減した。
  • 発酵熱を利用した子豚用床暖房システムにおいて、2基の堆肥化装置を活用し、堆肥の発酵状況に合わせた熱回収制御システムを開発した。

公表した主な特許・品種・論文

  • 特願 2018-209979 堆肥化装置およびその制御方法 (出願人 : 農研機構、中部エコテック株式会社)
  • 肥料登録3銘柄 登録番号 : 103503、104428、103867 平成30年10月時点 (朝日工業株式会社)
  • 小島陽一郎他. 養豚農家の密閉縦型堆肥化装置からのアンモニア回収および回収液の利用. 農業施設, 印刷中 (2019).

3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開

  • 開発した混合堆肥複合肥料の全国的な展開を行い、地域資源循環を目指す。
  • 熱返送用熱交換器を新規販売する密閉縦型堆肥化装置のオプション設備として販売する方針。
  • 密閉縦型堆肥化装置からの回収熱で得られた温水の床暖房に利用するシステムの販売を目指す。

【今後の開発・普及目標】

  • 2年後 (2020年度) は、床暖房システムの市販化として農家への導入を目指す。
  • 5年後 (2023年度) は、密閉縦型堆肥化装置へのルーツブロワの導入、通気制御ロジック、ピークカット制御手法の市販導入を目指す。
  • 最終的には、高度堆肥化システム (スマートコンポスト) として国内一般養豚家に、販売、普及を目指す。

4 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献

  • 開発した混合堆肥複合肥料を日本国内の養豚家と連携し生産、販売することで開発肥料の普及とともに、地域資源循環へ寄与できる。
  • 本研究の成果である高度堆肥化システム (スマートコンポスト) を導入することで、農業経営において商用電力や化石エネルギーへの依存を低減し、農場内エネルギーの利活用を推進するとともに、豚肉生産コスト低減可能となり、より安価な国産豚肉が提供することで国民生活に貢献できる。

養豚経営基盤強化に資する高度堆肥化システム (スマートコンポスト) の実証

問い合わせ先 : 農研機構 畜産研究部門 TEL 029-383-8678