生物系特定産業技術研究支援センター

イノベーション創出強化研究推進事業

放射能汚染地域におけるシイタケ原木林の利用再開・再生技術の開発

年度2019ステージ開発研究分野林業・林産 (きのこ)適応地域東日本

キーワードシイタケ・コナラ、放射能汚染、原木林、原木・ホダ木判定方法、放射性セシウム吸収抑制方法

課題番号 28028C
研究グループ 森林研究・整備機構 森林総合研究所, 栃木県林業センター, 茨城県林業技術センター, 千葉県農林総合研究センター森林研究所, 東京大学, 茨城大学, 仙台高等専門学校
研究総括者 森林研究・整備機構 森林総合研究所 平出 政和
研究タイプ 現場ニーズ対応型 Aタイプ
研究期間 平成28年~30年 (3年間)
PDF版 放射能汚染地域におけるシイタケ原木林の利用再開・再生技術の開発 (473.2 KB)

1 研究の目的・終了時の達成目標

福島第一原子力発電所の事故による放射能汚染の影響により、深刻な被害を未だに被っている福島県およびその近隣県の原木シイタケ栽培関連産業を再興させることを目的とする。このため、短期的目標として、汚染された地域における利用可能な原木林の判定方法および汚染されたホダ木の排除方法の開発を設定した。また、中長期的目標として、短期的に利用困難な原木林の再生技術の開発を設定した。最終的にこれら開発した技術をそれぞれの現場に適用して実証することを達成目標とする。

2 研究の主要な成果

  • 樹木を伐倒せずに原木としての適否を判定する可搬型検査装置を開発するとともに、伐採を予定している原木林内の樹木をすべて検査しなくてもその原木林が利用可能かを判定する手法を開発した。
  • ホダ木を粉砕せずにホダ木としての適否を判定する可搬型検査装置を開発するとともに、判定対象ロットのホダ木をすべて検査しなくてもそのロットが利用可能かを判定する手法を開発した。
  • 樹木の放射性セシウム濃度は、土壌中の放射性セシウム量ではなく、交換性カリウム量に強く影響されることを明らかにした。
  • 原木林にカリ肥料を散布して交換性カリウム量を増加させたところ、樹木による土壌からの放射性セシウムの吸収は抑制されることを明らかにした。

公表した主な特許・品種・論文

  • 特願 2017-046902 放射能測定システム及び放射能測定方法 (出願人 : 茨城大学)

3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開

  • 開発した原木林の判定方法と既存の原木判定方法を組み合わせた2段階判定方法は、次年度以降一部の地域で試験的に導入する予定である。
  • 本事業の一環として開発した伐採を要しない樹木の放射性セシウム濃度推定手法に将来予測を加え、伐期に利用可能な原木林の判定方法の開発を目指す。

【今後の開発・普及目標】

  • 2年後 (2020年度) は、2段階判定方法により、栃木県の原木生産量は2割以上増加し、12万本以上となる。
  • 5年後 (2023年度) は、将来予測に基づき伐期に利用可能と判定された原木林にて林業が再開される。
  • 最終的には、汚染された地域の原木林にて原木生産の再開を目指す。

4 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献

  • 2段階判定方法により、汚染された地域の原木林において事故以降停滞している原木生産が再開される。
  • 本課題の成果は、安全なシイタケの持続的な栽培に貢献すると供に原木栽培シイタケに対する消費者の信頼を回復させる。

放射能汚染地域におけるシイタケ原木林の利用再開・再生技術の開発

問い合わせ先 : (国研) 森林研究・整備機構 TEL 029-829-8377