生物系特定産業技術研究支援センター

イノベーション創出強化研究推進事業

口蹄疫ウイルスの全7血清型の検出および型別が可能なイムノクロマトキットの実用化

年度2019ステージ開発研究分野畜産 (家畜衛生)適応地域全国

キーワード家畜防疫、口蹄疫、抗原検出、型別、銀増感イムノクロマトグラフィー

課題番号 28032C
研究グループ 農研機構 動物衛生研究部門, 日本ハム株式会社中央研究所, 富士フイルム株式会社メディカルシステム事業部
研究総括者 農研機構 動物衛生研究部門 森岡 一樹
研究タイプ 現場ニーズ対応型 Bタイプ
研究期間 平成28年~30年 (3年間)
PDF版 口蹄疫ウイルスの全7血清型の検出および型別が可能なイムノクロマトキットの実用化 (606.1 KB)

1 研究の目的・終了時の達成目標

口蹄疫は最も恐れられている家畜伝染病の一つで、我が国の周辺国では流行が続いている。伝染力が非常に強く、速やかな初動対応が必要であること、互いにワクチンの効かない7種類の血清型があり、ワクチンの準備等のために早期の血清型別が有用であることから、本課題では簡易・迅速かつ高感度に口蹄疫ウイルス全7血清型の検出および血清型別が可能なイムノクロマトキットの実用化を達成目標とする。

2 研究の主要な成果

  • 開発キットの海外への普及を目的をし、諸外国の発生株に対して、キットに使用する抗体の評価を実施した。
  • 装置を必要としない銀増幅イムノクロマトデバイスの複数ライン塗布条件の設定に成功した。
  • I および II の抗体およびデバイスを用いて条件検討等を進め、口蹄疫ウイルス抗原検出キットの動物医薬品製造許可の薬事承認を取得した。
  • 感染試験および野外の検体を用いたキットの実証試験を行い、高い検出感度かつ高い特異度の結果を得ることができた。なお、得られたデータは III の薬事承認に応用された。

公表した主な特許・品種・論文

  • 特願 2017-061335 体液による抗原抗体反応阻害を防止する物質 (出願人 : 日本ハム中央研究所、農研機構)
  • 口蹄疫抗原検出キット「NHイムノスティック 口蹄疫」の製造販売承認を取得 (30動薬第415号)

3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開

  • 口蹄疫ウイルス抗原検出キットが、動物用体外診断用医薬品として製造販売承認された。今後、口蹄疫に関する特定家畜伝染病防疫指針の改定が行われ、国内防疫に活用される予定である。
  • 口蹄疫ウイルス血清型別検出キットに関して、臨床データ取得を継続し、口蹄疫ウイルス抗原検出キットと合わせて海外での実用化を目指す。

【今後の開発・普及目標】

  • 1年後 (2019年度) は、口蹄疫ウイルス抗原検出キットを国内47全ての都道府県に対して販売を行う。
  • 2年後 (2020年度) は、アジア諸国に対応した口蹄疫ウイルス血清型別検出キットの供給を目標とする。
  • 最終的には、全7血清型の検出および型別を可能とする全てのキットの販売体制を整える。

4 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献

  • 本法が国内外に普及し、海外からの口蹄疫侵入リスクの低減および国内発生時における防疫の迅速化により、畜産業や観光業および周辺産業への経済的被害を低減することが期待できる。
  • 本成果の普及によって、口蹄疫発生時の迅速な一次検査を可能とし、発生に伴う経済的被害の低減および日本国内の食肉の安定供給に寄与する。

口蹄疫ウイルスの全7血清型の検出および型別が可能なイムノクロマトキットの実用化

問い合わせ先 : 農研機構 動物衛生研究部門 TEL 029-838-7713