生物系特定産業技術研究支援センター

イノベーション創出強化研究推進事業

ほ場で突発するジャガイモ黒あし病の感染要因の検証

年度2019ステージ開発研究分野農業 (病害虫)適応地域北海道

キーワードジャガイモ、黒あし病、感染源、雑草、流入防止

課題番号 30037C
研究グループ 農研機構 北海道農業研究センター, 農研機構 種苗管理センター
研究総括者 農研機構 北海道農業研究センター 藤本 岳人
研究タイプ 緊急対応研究課題
研究期間 平成30年 (1年間)
PDF版 ほ場で突発するジャガイモ黒あし病の感染要因の検証 (814.4 KB)

1 研究の目的・終了時の達成目標

平成30年に農研機構種苗管理センター (種苗C) 北海道中央農場の調査用種苗生産ほ場でジャガイモ黒あし病の発生が確認された。黒あし病の蔓延により、種ばれいしょの安定供給に支障が出る恐れがあるため、感染経路の解明と有効な対策の策定が喫緊の課題となっている。そこで、本課題では種苗C北海道4農場 (中央農場、胆振農場、後志分場、十勝農場) における黒あし病の感染経路を解明するため、検定手法の確立、ほ場とその周辺環境に存在する感染リスクの評価、防除対策の策定を行う。

2 研究の主要な成果

  • これまで確立されていなかった、水サンプルからの黒あし病菌の選択的な増菌手法とPCR法等を用いた検出手法の開発に取り組み、成功した。
  • 種苗C北海道4農場から収集したサンプルの検定を行った結果、ほ場土壌 (中央、十勝)、ほ場近傍の雑草根 (中央、後志)、ほ場近傍の雑草根域土壌 (中央)、明渠排水やほ場滞水 (中央、後志) から黒あし病菌が検出された。
  • 今年度北海道中央農場で発生した黒あし病発病株からの分離菌株と、発生ほ場周囲の緑地帯で採取した雑草から分離された菌株は遺伝的に同一菌株であることを明らかにした。
  • I~III の結果を踏まえ、ほ場周辺環境から原原種生産ほ場への黒あし病菌の流入防止を目的とした具体的防除策を策定した。

3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開

  • 種苗C北海道全農場において、2019年度の種ばれいしょ植え付けほ場周囲を最優先として、緑地帯の除草、明渠の深堀・溝起こしによるほ場への流入抑制、大雨に備えた栽培区画の排水性の向上を実施する。

【今後の開発・普及目標】

  • 1年後 (2019年度) は、ほ場への黒あし病菌の流入を防止するための防除対策を、種苗C北海道全農場の栽培管理工程に組み込み、実施する。
  • 2019年度以降、種苗Cにおいて実施される黒あし病に対する具体的防除策の効果を検証する。

4 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献

  • これまでに黒あし病が確認されたロットの種ばれいしょは菌の種類によっては全量廃棄するといった事態が起きている。今後も種ばれいしょ生産ほ場において黒あし病の発生が続くと、一般栽培への影響が生じ、経済損失が起きると予想されるが、本課題による成果の普及により、この損失を未然に防ぐことができる。
  • 国産ばれいしょの増産・安定供給に対する社会的な要望は強い。本課題による成果の普及により、種ばれいしょ生産過程における黒あし病の発生が抑制されるため、種ばれいしょ生産力が維持される。国民の求める国産ばれいしょの増産・安定供給に貢献する。

ほ場で突発するジャガイモ黒あし病の感染要因の検証

問い合わせ先 : 農研機構 北海道農業研究センター TEL 011-857-9212