年度 2020 ステージ 開発研究 分野 農業-病害虫 適応地域 全国 キーワード ツマジロクサヨトウ、飛来源推定、低温耐性、簡易同定、室内飼育法 |
課題番号 | 01031C |
---|---|
研究グループ | 農研機構九州沖縄農業研究センター、農研機構中央農業研究センター、農研機構果樹茶業研究部門、農研機構野菜花き研究部門、農研機構生物機能利用研究部門、農研機構農業技術革新工学研究センター 、農研機構農業環境変動研究センター |
研究総括者 | 農研機構九州沖縄農業研究センター 秋月 岳 |
研究タイプ | 緊急対応研究課題 |
研究期間 | 令和元年 (1年間) |
PDF版 | ツマジロクサヨトウの効率的な発生予察と防除対策の確立に向けた緊急研究 (PDF:549.2 KB) |
1 研究の目的・終了時の達成目標
2019年7月に国内で新たに発生が確認されたツマジロクサヨトウは海外において農作物に大きな被害を与えており、日本での本種に対する防除対策を確立するためにはその生態を把握することが不可欠である。本課題では、移動分散の解析手法の確立、低温下での生育限界試験、簡易同定法の開発等の研究を行い、ツマジロクサヨトウの防除対策を確立するための手法を開発するとともに、植物防疫所や各都道府県病害虫防除所等が活用できる生態情報等の提供を行う。
2 研究の主要な成果
- ツマジロクサヨトウの海外からの侵入・国内の分散について、気象データを用いた流跡線解析の結果、初侵入の際の飛来源は中国東シナ海沿岸部、関東への分散は西日本が飛来源と推定された。
- 低温下での生育限界のデータが得られ、老熟幼虫並びに蛹においてハスモンヨトウとほぼ同等の低温耐性である事が明らかになった。
- ツマジロクサヨトウのフェロモントラップに同時に捕獲されるクサシロキヨトウとツマジロクサヨトウを複眼の微毛の有無で簡便に識別できる事を明らかにした。
- ツマジロクサヨトウの室内飼育法を確立し、試験研究に使用する多数の個体を常に供試することが可能になった。
3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開
- 開発した飛来予測手法については今度の発生データを蓄積して予測精度を向上させていき、最終的にはツマジロクサヨトウの飛来予測システムの開発につなげる。
- ツマジロクサヨトウの簡易同定は今後、野外で簡便にDNA配列レベルでの同定を行える手法を開発し、防除現場への普及を図る。
【今後の開発・普及目標】
- 1年後 (2020年度) は、ツマジロクサヨトウの防除マニュアルに、本課題の研究成果を反映する。
- 5年後 (2024年度) は、ツマジロクサヨトウの飛来予測システムを開発しWeb上に実装する。
- 最終的には、開発した技術を盛り込んだツマジロクサヨトウの恒常的な防除体系の構築を行い、生産現場での防除指針とする。
4 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献
- ツマジロクサヨトウがアフリカに侵入した際のトウモロコシの減収量が、収穫量の40~50%と推定され、日本国内においても適切な防除が行えない場合、非常に大きな減収になる恐れがある。本成果で、本種の海外からの侵入及び国内移動の予測手法と本種の簡便な同定法の開発による侵入の見逃し及び防除適期の見誤りのリスクの低減等により適切な防除が可能になる。
- ツマジロクサヨトウが加害する農作物への被害を軽減することにより、農作物の安定供給に貢献できる。
問い合わせ先 : 問い合わせ先:農研機構九州沖縄農業研究センター TEL 096-242-1150