生物系特定産業技術研究支援センター

イノベーション創出強化研究推進事業

新たな簡易米飯評価法を用いた実需ニーズに対応した業務用多収品種の開発

年度

2020

ステージ

開発研究

分野

農業-水稲

適応地域

北海道

キーワード

水稲、品種育成、業務用途、多収、いもち病抵抗性

課題番号 27031C
研究グループ 北海道立総合研究機構、農研機構北海道農業研究センター、北海道
研究総括者 上川農業試験場 宗形 信也
研究タイプ 育種対応型 Bタイプ
研究期間 平成27年~令和元年 (5年間)
PDF 新たな簡易米飯評価法を用いた実需ニーズに対応した業務用多収品種の開発 (PDF:503.9 KB)

1 研究の目的・終了時の達成目標

全国的な需給のミスマッチがおきている業務用の米生産について、これまで品種開発段階では難しかった米飯の業務用適性評価(「炊き増え」、「べたつき」、「老化性」など)に新たな簡易米飯評価法を用いることにより、1炊飯後時間が経っても柔らかさと美味しさが持続する「弁当向け」に適し、既存品種「ゆめぴりか」より収量1割増でいもち病抵抗性が強い品種を1品種以上、2炊き増えやタレ通りが良く「丼物向け」に適し、既存品種「きらら397」より収量1割増でいもち病抵抗性が強い品種を1品種以上開発する。

2 研究の主要な成果

  • いもち病抵抗性に優れ「弁当向け」業務用途に適した「上育471号(えみまる)」を開発した。収量性は「ゆめぴりか」に優り、業務用にも利用される移植栽培の「ななつぼし」と同等の良食味である。
  • 「えみまる」の簡易栽培マニュアルを作成し、生産者に配布することで、令和元年度の一般栽培 (約500ha) に反映させた。
  • 対照品種の「きらら397」より概ね1割以上多収で、いもち病抵抗性等の農業特性に優れ、「丼物向け」業務用途に適していると評価した、「空育191号」「空育194号」および「空育195号」を開発した。

公表した主な特許・品種・論文

  • 品種登録出願33323 水稲品種「えみまる」を品種登録出願 (H30年8月) (出願者名 : 平山裕治他)
  • 品種登録出願31436 水稲品種「そらゆたか」(飼料用途) を品種登録出願 (H28年9月) (出願者名 : 尾﨑洋人他)

3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開

  • 「えみまる」を早期に普及させ、北海道内の直播栽培面積の5割以上の作付を目指す。また、早生であるメリットを活かし、現在民間で先行して普及が進めてられている高密度播種短期育苗栽培での活用も図る。
  • 丼物向け業務用多収有望3系統のうち最も優れるもの1つを令和2年度以降に優良品種化を目指す。

【今後の開発・普及目標】

  • 2年後 (2021年度) は、「えみまる」1,500ha の普及と丼物向け業務用多収系統の品種化を目指す。
  • 5年後 (2024年度) は、「えみまる」について普及予定面積の2倍である 2,000ha の普及と 10,000t の生産量を目指す。さらに、丼物向け業務用多収品種の早期普及を目指す。
  • 最終的には「えみまる」について 2,500ha、丼物向け業務用多収品種 10,000ha の普及を目指す。

4 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献

  • 5年後には、業務用2品種の普及により少なくとも 約10,000t の収穫量の増加が見込まれ、生産現場における直接の経済効果は収量増加分で年間12億円、最終的な取引額で15億円程度となる。さらに、いもち病抵抗性が強化されており、その効果は単年数十億円規模と期待される。
  • 農業特性が高く、業務用に適した品種の普及を拡大することにより、生産安定性に寄与し、市販用を含め、北海道が安定的に全国の需要に応じた供給を可能とする。

新たな簡易米飯評価法を用いた実需ニーズに対応した業務用多収品種の開発

問い合わせ先 : 地方独立行政法人 北海道立総合研究機構 上川農業試験場 TEL 0166-85-4115