年度 2020 ステージ 応用研究 分野 農業-野菜 適応地域 全国 キーワード ダイコン、ゲノム、一塩基多型(SNP)、難対策特性、データベース |
課題番号 | 29010B |
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研究グループ | 東北大学大学院農学研究科、農研機構野菜花き研究部門、かずさDNA研究所 |
研究総括者 | 東北大学大学院農学研究科 北柴 大泰 |
研究タイプ | 産学機関結集型 Bタイプ |
研究期間 | 平成29年~令和元年 (3年間) |
PDF版 | ダイコン品種間SNP情報の高度化と難対策特性遺伝子座同定および育種利用 (PDF:1.3 MB) |
1 研究の目的・終了時の達成目標
日本の作付け面積上位に位置するダイコンは一年を通して需要があり、和食に欠かせない食材である。そのため、生産・品質の安定化は重要な課題である。そこで、これらを目標とする品種開発の効率を向上させるために、整備が遅れていたダイコンゲノム情報の高度化を目指す。また重要課題のうち、黒斑細菌病抵抗性などの4つの特性について、これらに関連するSNP(一塩基多型)の同定、およびその選抜マーカーの開発を目標とする。さらに、ゲノム情報等を搭載し、育種従事者や研究者に利便性のあるデータベースを構築する。
2 研究の主要な成果
- 桜島ダイコンの全ゲノム領域の85% (504.5 Mb) を超える塩基配列を決定した。従来のカバー率を超え、ダイコンの遺伝子をほぼ全て内包する連続性や網羅性が飛躍的に改善されたゲノム情報を整備した。
- 500以上の品種・系統についてのSNP情報をゲノム網羅的 (約53,000座) に明らかにした (従来の5倍以上の情報量)。
- 本成果のゲノム情報を搭載してコンテンツを高度化し、表示システム、検索システム等において利便性を高めたデータベースを構築した。
- 黒斑細菌病抵抗性、高温障害耐性、抽苔早晩性、一莢種子数に関する約200品種の形質情報を蓄積し、それぞれに関連性のある候補SNP座を同定した。
公表した主な特許・論文
- Kobayashi et al. Identification of genome-wide single-nucleotide polymorphisms among geographically diverse radish accessions. DNA Res. (2020) doi.org/10.1093/dnares/dsaa001
- Shirasawa et al. Genome sequence and analysis of a Japanese radish (Raphanus sativus) cultivar named'Sakurajima Daikon' possessing giant root. DNA Res. (2020) doi.org/10.1093/dnares/dsaa010
3 今後の展開方向
- 構築したゲノムデータベースに、さらにコアコレクション情報、調査した形質や選抜マーカー情報等を搭載し、データベースの継続的な高度化と利用促進を図る。
- 黒斑細菌病抵抗性、高温障害耐性、抽苔早晩性、一莢種子数に関連する候補SNPの実用化に向けた検証を進め、高品質・安定生産品種の育成への活用を図る。
【今後の開発・普及目標】
- 随時 (2020年度~)、搭載情報を高度化することと併行し、利用促進に向けてワークショップ開催などゲノム情報活用の支援を進めていく。
- 5年後 (2024年度) は、各特性選抜マーカーを利用した品種のリリースを開始する。
- 最終的には、和食素材として多彩な品種開発につなげるために、育種従事者への情報の利用拡大を図る。
4 開発した技術・成果の実用化により見込まれる波及効果及び国民生活への貢献
- ゲノムデータベース情報の利用が促進されることで多彩な品種開発が進み、ダイコン臭、辛味、色等の自在なコントロールが可能になることで、加工業界 (飲料等の分野) のニーズへの対応が期待できる。
- 機能性成分含量が変化した品種開発等により国民の健康生活の向上に貢献する。また、多くの地方在来品種の特徴や遺伝的な多様性情報を加えた食育、郷土史教育への展開も期待される。
問い合わせ先 : 東北大学大学院農学研究科戦略統括部門URA TEL 022-757-4028