年度 2020 ステージ 応用研究 分野 農業-野菜 適応地域 全国 キーワード 施設トマト、イチゴ、パプリカ、環境制御、シンク・ソース、センシング、シミュレーション、3次元形状センサ |
課題番号 | 29011B |
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研究グループ | 農研機構野菜花き研究部門、宮城県農業・園芸総合研究所、栃木県農業試験場、東京大学、株式会社エキサイト |
研究総括者 | 農研機構野菜花き研究部門 岩崎 泰永 |
研究タイプ | 産学機関結集型 Aタイプ |
研究期間 | 平成29年~令和元年 (3年間) |
PDF版 | 3次元形状計測センサ (キネクト) を活用する施設果菜類の群落光合成測定と草勢制御 (PDF:735.0 KB) |
1 研究の目的・終了時の達成目標
施設果菜類の生産において、収量を増加させるためには、光合成量を最大化すると同時に、光合成産物の果実への分配量を最適化する必要があり、そのためには適切な栄養成長 / 生殖成長バランスを維持することが重要である。そこで、光合成量を最大化すると同時に、適切な栄養成長 / 生殖成長バランスとなる環境管理、肥培管理を提示し、光合成産物の果実への分配量を最適化して収量を最大化するシステムを、民間企業によるクラウドサービスとして生産現場に提供する。
2 研究の主要な成果
- 3次元形状センサキネクトによって撮影した距離画像から直達光受光葉面積指数 ( i LAI ) を求め、非破壊で群落の受光量を測定し、群落光合成量を推定する手法を開発した。
- 距離画像から取得した草高伸長量ならびに i LAIの高さ別 (層別) 分布から草勢を診断する手法を開発した。
- 二次元画像から花数や着果数 (シンク強度) を推定するスマートフォン用アプリを開発した。
- 光合成量と生育量を可視化するソフトウェアツールおよび、光合成量と生育量が一致する環境管理 (気温) や栽培管理 (栽植密度や芽数) の決定を支援するソフトウェアツールを開発した。
公表した主な特許・論文
- Takahashi, M. et al. Development of LAI and fruit load estimation method using a three-dimensional shape measurement sensor, ActaHortic. (in press).
- Takahashi, M. et al. Quantification of strawberry plant growth and amount of light received using a depth sensor, Environmental Control in Biology. (in press).
- Takahashi, M. et al. Development of Three-dimensional Shape Measurement Technology of Strawberries Actahortic, 1227, 387-392 (2018).
3 今後の展開方向
- 開発した技術はハードウェアとソフトウェアをパッケージ化し、民間企業によるクラウドサービスとして広く、一般向けに提供する。
- 主産地で実証試験を行い、問題点を抽出して改良を行い、導入を促進する。
【今後の開発・普及目標】
- 2年後 (2022年度) は、コンソーシアムに参加している民間企業 ((株)エキサイト) が、本研究で開発した技術をパッケージ化し、クラウドサービスとして一般に試験的な提供を開始する。試験研究機関、普及センター、行政、民間企業と連携して開発した技術の導入を進める。
- 5年後 (2025年度) は、上記のクラウドサービスを一般むけに提供を開始する。
- 最終的には、開発した技術を複数の民間企業から提供できるようにして、技術の浸透を進める。
4 開発した技術・成果の実用化により見込まれる波及効果及び国民生活への貢献
- 本研究で開発する技術は第一義的にはこの技術を導入した生産者の収益を向上する。この技術が普及することによって、トマト、イチゴ、パプリカなど主な施設栽培果菜類の収量が10%以上増収するので生産量が増加し供給が安定する。
- 収量当たりの生産コストが削減されるので、消費者にとって値頃感のある価格で購入しやすくなる。おいしくて値頃感のある野菜を安定供給することで消費の拡大を図ることが可能となるため、国民の健康維持に寄与する。
問い合わせ先 : 農研機構野菜花き研究部門 TEL 029-838-8681