生物系特定産業技術研究支援センター

イノベーション創出強化研究推進事業

口蹄疫・鳥インフルエンザ等家畜伝染病防疫のための多機能粒状消石灰の実用化

年度

2020

ステージ

開発研究

分野

畜産-家畜衛生

適応地域

全国 (北海道)

キーワード

牛・肉牛・乳牛・豚・食用鶏・採卵鶏など、家畜疾病対策、消石灰、飼養衛生管理基準、消毒効果

課題番号 29012C
研究グループ 室蘭工業大学、ティ・イー・シー (株)、(株) コア、宮崎県家畜防疫対策課、北海道白糠町農政係
研究総括者 室蘭工業大学 山中 真也
研究タイプ 現場ニーズ対応型 Aタイプ
研究期間 平成29年~令和元年 (3年間)
PDF版 口蹄疫・鳥インフルエンザ等家畜伝染病防疫のための多機能粒状消石灰の実用化 (PDF:618.2 KB)

1 研究の目的・終了時の達成目標

使いやすさを追求した多機能粒状消石灰を開発・実用化することで、喫緊の課題である家畜伝染病対策の高度化を実現することを目的とする。このために、待ち受け消毒に使用されている既存の消石灰粉体の問題「消毒効力低下を判断できない」、「飛散する」などを解決する多機能粒状消石灰を開発する。プラント (目標生産能力:400トン/年) で製造した多機能粒状消石灰を用いて800戸の農家等で実証試験やアンケート調査を行い、購入意欲「有」400戸超を達成目標とする。

2 研究の主要な成果

  • 飛散しにくく、pH持続期間が長く、適度な硬さを有する多機能粒状消石灰と、消毒効果を目で見て判断できる可視化剤を開発した。あわせて、消石灰が消毒効果を発現する環境条件を明らかにした。
  • 造粒機、乾燥機、分級機から成るプラントを設計・製作し、550トン/年の生産速度を達成して、さらには2000トン/年の大型プラントを設計した。配合等の工夫により製造コストを従来の1/2に低減できた。
  • 809戸の農家等畜産関係機関で大規模実証試験を実施して、多くのモニターが開発品を好意的に評価した。散布しやすかった : 89.7%、可視化剤は見やすかった : 89.6%

公表した主な特許・品種・論文

  • 特願2020-044879 可視化剤、これを用いた消毒剤の有効性判定方法及び炭酸化の検出方法
    (株式会社コア、国立大学法人室蘭工業大学)
  • Yamanaka, S. et al. Design of calcium hydroxide-based granules for livestock sanitation", Case Stud. Chem. Environ. Eng., in press

3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開

  • 消石灰事業者がプラントを導入しつつ多機能粒状消石灰を製造して、ホクレン・全農による流通販売が現実的であり、本研究の成果を実施許諾して地域ごとに製造・販売業務を委託する体制が合理的。
  • 可視化剤については、本研究で設立した大学発ベンチャーが製造・販売して、粒状消石灰を含め消石灰散布の常識化を実現する。

【今後の開発・普及目標】

  • 2年後 (2021年度) は、本研究の成果の一つである大学発ベンチャーが可視化剤を上市する。
  • 5年後 (2024年度) は、上市した多機能粒状消石灰を5,500戸 (生産量は約6,600トン) で販売・普及。
  • 最終的には、消石灰による散布が常識化した社会の実現を目指す。

4 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献

  • 多機能粒状消石灰の10年後 (2030年度) の累積売上額は約43億円、その他の産業も含めた生産波及効果は約75億円と試算され、散布消毒を代行する数十億円規模の産業が生まれる可能性もある。
  • 家畜伝染病発生リスクを低減し、健全な畜産経営と食品の安定供給に貢献するとともに、周辺国の家畜伝染病防疫にも貢献する。

口蹄疫・鳥インフルエンザ等家畜伝染病防疫のための多機能粒状消石灰の実用化

問い合わせ先 : 室蘭工業大学研究協力課 TEL 0143-46-5022