生物系特定産業技術研究支援センター

イノベーション創出強化研究推進事業

カンショでん粉とオゴノリ酵素により生産されるアンヒドロフルクトースの静菌用途開発

年度

2020

ステージ

開発研究

分野

食品-食品製造・加工

適応地域

全国

キーワード

サツマイモ、アンヒドロフルクトース、フードロス、日持ち向上、静菌作用

課題番号 29024C
研究グループ 鹿児島大学農学部、鹿児島大学大学院連合農学研究科、鹿児島県大隅加工技術研究センター、鹿児島県水産技術開発センター、株式会社サナス
研究総括者 鹿児島大学農学部 安部 淳一
研究タイプ 現場ニーズ対応型
研究期間 平成29年~令和元年 (3年間)
PDF版 カンショでん粉とオゴノリ酵素により生産されるアンヒドロフルクトースの静菌用途開発 (PDF:619.4 KB)

1 研究の目的・終了時の達成目標

カンショでん粉と海藻オゴノリを原料として生産できるアンヒドロフルクトース (以下AFと省略) は、静菌性を有する。このAFを加工食品の日持ち向上用途で開発・普及することを目的とした。このために、AFと酢を混合して静菌活性がより高い製品を商品化すること、AFが高い静菌活性を示す使用条件を明らかにすること、安心・安全を提供できる静菌メカニズムを調べること、普及用のマニュアルを作成すること、高活性のオゴノリを確保してAFの安定な生産と増産を将来に渡って担保することを達成目標とした。

2 研究の主要な成果

  • AFの酢酸との相乗的静菌効果を活かして、AFと醸造酢を混合した製品を開発した。
  • AFが効果的に作用する菌種と使用条件を調べ、応用試験例を蓄積して普及用のマニュアルを作成した。
  • 静菌メカニズムを明らかにし、ユーザーに安心感を与えることができるメカニズムであることを示した。
  • 高い活性を示すオゴノリの種を遺伝子の分子系統解析で特定して選抜でき、そのオゴノリの生育特性を調査した。さらに将来のオゴノリの養殖に向けた基礎データを取得した。

公表した主な特許・品種・論文

  • 特願2019-130970 酵素グルカンリアーゼ活性の高い海藻 (出願人 : 鹿児島大学、株式会社サナス)

3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開

  • 株式会社サナスは、東京、大阪、福岡、鹿児島を拠点として認知・普及活動に努める。
  • 鹿児島県大隅加工技術研究センターと鹿児島県水産技術開発センターは、鹿児島県内の食品会社への普及に努める。
  • 本事業で得られた成果について学術誌に投稿して公開することで、AFの静菌効果に関する信頼性を科学的に高めるとともに、食品関係者と研究者の認知度向上を図る。

【今後の開発・普及目標】

  • 3年後 (2022年度) までに、AF製品で国内300トン販売を目指す。
  • 5年後 (2024年度)、海外での販売に向けてアメリカ合衆国の認可を得る。
  • 最終的には、海外市場も含めAF水飴で2,000トン、その原料としてカンショでん粉で2,500トンの販売を達成する。

4 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献

  • AF水飴の利用が拡大することにより、その原料であるカンショと海藻オゴノリの消費が拡大する。また、将来的にオゴノリの養殖が達成できればオゴノリ生産者の収入増加とオゴノリ原料の将来の安定確保が達成できる。
  • AF水飴の作用機序が静菌効果であることを明らかにした。この機序は消費者に不安を与えないと期待できる。これまで化学合成の食品添加物で日持ち性の向上が図られてきた加工食品を、天然食品素材AFに置き換えることで、安心感を提供するとともに天然志向の消費者のニーズに応え、またフードロスが軽減できる。

カンショでん粉とオゴノリ酵素により生産されるアンヒドロフルクトースの静菌用途開発

問い合わせ先 : 株式会社サナス TEL 099-269-1011