年度 2020 ステージ 開発研究 分野 林業・林産-防災 適応地域 全国 キーワード スギ、伐倒、膨張剤、ロボット、安全 |
課題番号 | 29026C |
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研究グループ | 岩手大学、太平洋マテリアル株式会社、石村工業株式会社、釜石地方森林組合 |
研究総括者 | 国立大学法人岩手大学理工学部 金天海 |
研究タイプ | 現場ニーズ対応型 Bタイプ |
研究期間 | 平成29年~令和元年 (3年間) |
PDF版 | 遅効性膨張剤を用いた倒木方向を制御できる杉間伐ロボットの開発と普及 (PDF:490.5 KB) |
1 研究の目的・終了時の達成目標
林業では毎年約1300人の死傷者が出ており、立木伐倒作業での労働災害も多い。また、林業の従事者は減少傾向にあり、新たな事業の担い手が少なく、事業体の安全対策費や保険料負担等も大きい。チェンソーによる伐倒では人が倒木に巻き込まれる可能性があり、急傾斜の多い日本では大型林業機械の利用は制限される。そこで、遅効性膨張剤を幹に投入し、人・機械ともに退避することで安全な伐倒を実現する杉間伐ロボットを開発・普及する。林業従事者、専門家、販売会社等に安全性、汎用性、効率性、実用化の可能性等を評価いただき、実用と販売に十分な評価を得る。
2 研究の主要な成果
- 杉間伐ロボット、ロボット用運搬機、金属ピストンシステム、膨張剤、および倒木方向を制御可能な穿孔パターンを開発した。
- 杉間伐ロボットにより、樹木への穿孔を平均24.8秒で行えるようになった。また、金属ピストンシステムを利用することで、穿孔した孔に膨張剤を3-4分程度で封入できるようになった。
- 膨張剤を封入した樹木を±10度以内の方向へ100%の確率で倒木できる穿孔パターンを明らかにした。
- 釜石地方森林組合にて安全性、汎用性、効率性の評価を行った結果、いずれも目標値を達成した。また、石村工業株式会社にて実用化の可能性を評価した結果、「製造販売可能」の目標を達成した。
3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開
- 杉間伐ロボット、ロボット用運搬機、および金属ピストンシステムの開発成果を石村工業株式会社に引き継ぎ、生産体制を整える。性能向上や肉抜き (軽量化)、意匠などについて検討を行う。
- 膨張剤については、太平洋マテリアルが生産体制を確立し、ロボットの発売時期に合わせて発売する。
【今後の開発・普及目標】
- 3年後 (2022年度) は、杉間伐ロボット、ロボット用運搬機、金属ピストンシステム、膨張剤を釜石地方森林組合や岩手県内に向けて販売開始する。
- 5年後 (2024年度) は、上記の商品について全国展開を行い、50億円の販売を目指す。
- 最終的には、上記の商品について世界展開を行う。国内では210億円の販売を目指す。
4 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献
- 「釜石環境未来都市構想」など、木質バイオマスを中心としたプロジェクトとの連携により、地域施行の集約化や生産性の向上に貢献する。バイオマスによるエネルギー供給や間伐促進による環境景観保全の為には、林業自体の生産性を高め、担い手を増やすことが重要であり、本研究の伐倒技術が活かせる。
- 「林内作業の安全性を確保し、労働環境を改善すること」、「不慣れな若年労働者にとっても扱い易い間伐用機械を提供すること」を通じて恒常的な労働人口の確保に貢献する。
問い合わせ先 : 石村工業株式会社 TEL 019-322-3641