生物系特定産業技術研究支援センター

(27024C) 国産のデュラム小麦品種の栽培と純国産パスタ製品の開発

事業名 農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業(実用技術開発ステージ)
実施期間 平成27~29年(3年間)
研究グループ
(研究終了当時)
日本製粉株式会社、兵庫県立農林水産技術総合センター、山口県農林総合技術センター、農研機構 西日本農業研究センター
作成者 日本製粉株式会社 大楠 秀樹

1 研究の背景

わが国はパスタ用途にデュラム小麦を輸入しているが、国内での登録品種の栽培実績はなく、自給率はゼロであった。国産農産物志向の中、国産デュラム小麦を使用した純国産パスタを要望する声は強かった。

2 研究の概要

日本で初めてデュラム小麦として登録された小麦品種「セトデュール」(系統名 : 中国D166号) の安定供給可能な栽培法を開発し、国産デュラム小麦の特徴を活かした純国産パスタ製品の開発を図る。

3 研究期間中の主要な成果

  • 施肥体系による子実タンパク質含量の目標達成方法と収量増加の方法と赤かび病害防除の栽培マニュアルを作成し、商業栽培の素地を作った。
  • 原種ならびに種子麦の生産を実施し、商業栽培の生産者に向けて発芽率が確保できた種子麦の生産・供給の手順を示した。
  • 大型製粉ラインをセトデュール用に調整して得られたセモリナを使い、パスタ工場の製造ラインで乾燥スパゲッティの試験製造を行い、問題がないことを確認して「瀬戸内生まれのスパゲッティ」を開発した。

4 研究終了後の新たな研究成果

  • セトデュールを使ったオーマイブランドの乾燥スパゲッティ「瀬戸内生まれのスパゲッティ」を関西地区で販売開始している。
  • 6次産業化として、生産者である八幡営農組合にセトデュールを使った「加古川パスタ」を提供し、地域ブランドとして販売されている。「加古川パスタ」は農林水産省主催の「フード・アクション・ニッポンアワード2019」に選定された。また、令和元年10月には「加古川パスタ」でレシピコンテストも開催された。

5 公表した主な特許・品種・論文

「該当なし」

6 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開

(1) 実用化・普及の実績

  • 令和元年(2019年) 産の「セトデュール」農産物検査数量は117トンであり、当初の普及目標100トンを達成した。
  • 令和元年、セトデュールを使ったオーマイブランドの乾燥スパゲッティ「瀬戸内生まれのスパゲッティ」を関西地区で販売を開始。また、生産者組合はセトデュールを使った「加古川パスタ」地域ブランドとして販売。

(2) 実用化の達成要因

日本製粉が主体となって研究や社会実装を推進。種子の供給や栽培指導を行い生産を安定化させると共に、加工品の販売を手がけている。

(3) 今後の開発・普及目標

生産関係者等の理解を得ながら、瀬戸内地域の栽培適地への段階的な栽培面積の拡大に努める。研究終了の5年後である2022年には、150トン~200トン規模の栽培を行う。その栽培を賄える種子生産を行う。また、収穫物を製粉してセモリナを作り、スパゲッティで100トンを超える生産を行う。

7 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献

デュラム小麦の自給率はゼロから脱却することができ、純国産パスタ製品を購入できる選択肢ができた。加古川市での6次産業化も進み、学校給食でも提供された。一連の成果は多数の新聞にも取り上げられた。

(27024C) 国産のデュラム小麦品種の栽培と純国産パスタ製品の開発