生物系特定産業技術研究支援センター
(24025) センサーわなのネットワーク化による野生動物捕獲システムの開発
事業名 | 農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業(実用技術開発ステージ) |
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実施期間 | 平成24~26年(3年間) |
研究グループ (研究終了当時) |
兵庫県立大学、株式会社NTTPCコミュニケーションズ、兵庫県森林動物研究センター、長崎県農林技術開発センター、株式会社一成 |
作成者 | 株式会社一成 浅野 陽介 |
1 研究の背景
野生動物による被害が深刻化する中、効率的な捕獲手法が求められている。これまで、センサーわな等により効率は向上したが、優れた捕獲器を使っても効率が高い時期や場所は限られているため、効果的な運用が求められていた。
2 研究の概要
本研究では、複数のセンサーわなをネットワークで繋ぎ、各センサーからの情報を分析し、捕獲適期や適地の情報を捕獲従事者がリアルタイムで共有することで、労力や資材を効率よく集中できるシステムを構築し、捕獲効率を従来の5~10倍の向上を目指した。
3 研究期間中の主要な成果
- センサーわなをネットワーク化し、わなの管理状況をリアルタイムに把握することができるようになった。
- 双方向通信システムを実現、遠隔地からセンサーわなの設定や操作ができるようになった。
- センサーわなからのデータから、捕獲確率を予想できるようになった。
4 研究終了後の新たな研究成果
- 野外での長期間の利用と作業効率向上のためのハウジング、架台、ケーブル等のシステムの構築
- ソーラーシステムの活用
5 公表した主な特許・品種・論文
特許5925170 捕獲情報システム (出願人 : 坂田宏志、阿部豪、株式会社エヌ・ティ・ティピー・シーコミュニケーションズ)
6 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開
(1) 実用化・普及の実績
現行品より安く販売することを目標に (AIゲートかぞえもん 85万円) 改良を重ね、Web AIゲート「かぞえもんAir」としてH27年から販売を開始し、約40組織、80台を販売した。現在は1台あたり65万円で販売。
(2) 実用化の達成要因
獣害対策における社会的ニーズが高かったことに加え、開発チームの捕獲実績の中から、特に重要かつ実現性が高い項目に開発目標を絞っていったこと。
(3) 今後の開発・普及目標
各地での使用実績の情報を元に、改善の方針を検討していく。ネットワーク化による捕獲効率や管理効率の向上のため、1台だけではなく複数台を使用する運用体制を普及していく。
7 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献
- 利便性の高い捕獲器により、幅広い人材が捕獲に参画可能になる。また、捕獲効率の向上で、獣害対策の経済的負担を軽減できる。これにより獣害に苦しむ農山村に、対策の活性化と被害軽減の2つの経済効果をもたらす。
- 各地で深刻な被害をもたらす野生動物の個体数を効果的に減少させることで、産業被害や生活被害、森林生態系被害など、人と野生動物の多面的な軋轢を緩和することが可能になる。